再生医療

再生医療とは

関節の痛みに対して、保存療法や手術療法などさまざまな治療方法が用いられていますが、その中でも特に注目されているのが「再生医療」です。再生医療とは、人が持っている”再生力”を生かした新しい治療法のことを指します。自分の血液や細胞を利用して、ケガや病気で損なわれた組織を根本から修復できる画期的な治療方法です。体への負担を抑えながら、病気の根本治療を目指すことができます。

従来の治療方法との違い

一番の違いは、根本治療が可能なことです。従来の治療方法は、あくまで症状を”緩和させる”ことに留まっていましたが、再生医療では根本からの治療が可能になります。特に関節は一度傷つくと修復が難しく、これまで根本的な治療方法がなかったために多くの期待を寄せられています。 また、副作用が少ないことも従来の治療法との違いとして挙げられます。自分の血液や細胞を使用するため拒否反応が起こるリスクが少なく、大きな切開を伴わないため身体的負担も少なく済みます。

再生医療の弱み

再生医療の弱みは、コストがかかることです。保険適用外の治療となるため、治療費が全額自己負担となります。通院回数は少ないものの1回の治療にコストがかかるため、誰でも気軽に治療を受けられるわけではありません。また、生きた細胞やウイルスを扱うため、感染症罹患やアレルギー反応などのリスクも考えられます。

幹細胞治療

幹細胞治療とは、体内から取り出した幹細胞を培養して投与し、関節機能の回復を目指す治療法のことです。お腹もしくはお尻の脂肪から幹細胞を採取し、培養を行ってから患部に投与します。採取は注射もしくは5mm程の切開で済むため傷跡が残りにくく、日帰りで手術を受けられるのが特長です。幹細胞には抗炎症作用や鎮痛作用があり、患部に注射することで炎症や痛みをやわらげます。効果の出方には個人差がありますが、早い人で治療後2週間、遅くとも半年以内には効果が現れることが多いです。

また、幹細胞には「分化能」という、体の中の特定の細胞に変化する特性があります。例えば、出血してしまった時に血小板に変化して止血をしたり、菌が体内に侵入したときに体を守る白血球に変化したりするイメージです。幹細胞を患部に注射すると、この分化能の働きによって骨や軟骨の厚みが増し、傷が修復するといったデータもあります。

PRP療法

PRP療法とは、血小板の抗炎症力や修復力を利用した治療法のことです。採取した自分の血液を遠心分離にかけることで、PRP(多血小板血漿:たけっしょうばんけっしょう)という血小板を凝縮して活性化させたものを抽出します。抽出したPRPを患部に注射することで、壊れた組織の修復や痛みの軽減が期待できます。入院や手術の必要がなく、日帰りでの治療も可能です。個人差はありますが、治療後約2週間~3ヶ月程で効果が現れはじめます。

血小板には炎症を抑えながら組織を修復する「抗炎症性サイトカイン」という成長因子が含まれており、傷ついた組織の修復を促します。幹細胞治療と同じく、細胞を採取して行う治療法ではありますが、幹細胞治療がより再生力に特化し、PRP療法が修復力に特化していると言われています。

PFC-FD™療法

PFC-FD™療法は、PRP治療を応用した治療法です。PRP療法との違いは、成長因子の総量と加工過程、注射時の痛みの差にあります。PRP療法と比べると、血小板内の成長因子をより安定して高濃度抽出できるため、成長因子が約2倍増えると言われています。また、加工過程でPRPをフリーズドライしているため常温管理ができ、約半年間の保存が可能です。患者さまの都合に合わせて治療を進められることがメリットとして挙げられます。加工過程において、注射時の痛みの原因となる白血球などの免疫成分を除去しているため、PRP療法と比べると注射時の痛みが軽減します。ただし、加工工程に時間がかかるため、採血から施術まで約3~4週間の時間を要します。

PFC-FD™を注入する際には、生理食塩水で溶解してから注射します。PRP療法と同様に、入院や手術の必要はありません。個人差はありますが、治療後約2週間~3ヶ月程で効果が現れはじめます。

APS療法

APS療法とは、自分の血液から採取したAPS(自己タンパク質溶液)を患部に注射する治療法です。APSは、自分の血液から採取したPRPの中から、炎症を抑える良質なタンパク質と軟骨を保護する成長因子を、高濃度で抽出したもののことを指します。APSはPRPより抗炎症効果が高く軟骨の変性も抑制するため、「次世代のPRP治療」とも呼ばれています。

PRP療法と同様に日帰りでの手術が可能です。効果は治療後約2週間~3ヶ月程で現れはじめ、半年~最長2年程効果が持続すると言われています。日常生活での活動量の差、元々の血小板の量の違いなどにより、効果の出方や持続期間には個人差が生じます。

まとめ

再生医療は、糖尿病や心臓病、癌などの疾患に対する治療法として近年広く実用化され始めています。保存療法で期待する効果が得られなかった方や手術を検討している方は、再生医療での治療を選択肢として取り入れてみてはいかがでしょうか?

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