手術療法

手術療法とは

ひざ関節の痛みが慢性化し、保存療法で期待する効果が得られなくなった場合、手術療法が検討されることがあります。手術療法は、痛みの根本的な原因を取り除き、関節機能を回復するために行われる方法です。

変形性膝関節症の手術療法

関節鏡手術

関節鏡手術とは、ひざに数mmほどの穴をあけて関節鏡を挿入する手術のことです。関節鏡に付いているカメラの映像を見ながら、ひざの痛みの原因となる軟骨の破片やすり切れた半月板を取り除きます。痛みの軽減だけでなく、軟骨の状態をチェックする目的で行われるケースもあります。

ひざの変形が進行していない、初期のひざ関節症に対して行われる手術です。

メリット

関節鏡を挿入するための小さな穴をあけるだけなので、身体的な負担や副作用を抑えられます。入院期間も3日~1週間と短く、手術の翌日から装具を付けて歩くこともできるため、日常生活に支障をきたさず治療をおこなえます。

デメリット

ひざの変形そのものを治療することはできません。あくまで一時的な痛み軽減のために行われるため、膝の痛みや変形が進行している場合は適用しないこともあります。

高位脛骨骨切り術

進行度目安:中期

高位脛骨骨切り術とは、ひざ関節の下にある脛骨をカットし、O脚やX脚を矯正する手術です。ひざの変形によって体重のかかる部分が膝の中心から外側や内側にずれると、軟骨や半月板などのクッションが傷んできます。高位脛骨骨切り術では、傷んだ脛骨をカットし、体重がひざの中心にかかるように調節したあと、人工骨を挟んで金属プレートで固定します。

比較的年齢が若く、筋力や靭帯がしっかりしている方が適応の手術です。

メリット

自分の関節を温存したまま症状を緩和できるのが最大のメリットです。手術後も日常生活に対する制限が比較的少ないため、身体を使った仕事をしている人や、ひざに負担のかかるスポーツをする方でも手術を行えます。

デメリット

骨が完全にくっつくまで痛みを伴います。その間もリハビリが必要になり、機能回復までにはおよそ数週間~半年ほどかかるとも言われています。そのため、筋力や靭帯が衰えはじめるご年配の方には不向きな場合も。また、固定するために挿入した金属プレートを1年後に抜去する必要があるため、すべての治療を終えるまでには約1年の期間を要します。

人工膝関節置換術

進行度目安:末期

人工膝関節置換術は、症状がかなり進行して傷んだ膝関節を、人工関節に置き換える手術です。膝の真ん中を10cmほど切開し、傷んだ部分を取り除いたあとに人工関節を骨の代わりに固定します。個人差はありますが、痛みなどの症状が90%以上改善されると言われています。

メリット

年齢や変形の程度を問わずに痛みを取り除けるため、歩きづらい、歩くたびに痛みがある、転倒しやすいといったお悩みのあるご年配の方にも適応します。術後は1~2週間ほどで松葉杖を使っての歩行が可能です。痛みによってできなかった動作が可能になるだけでなく、活動範囲が広がり日常生活が豊かになるといったメリットもあります。

デメリット

細菌感染や血栓、人工関節のゆるみなどといった合併症のリスクがあります。また、人工関節の耐久年数は10〜15年と言われており、寿命によって再手術が必要となる場合も。日常生活の動作に気を付け、適切な体重をキープすることで長持ちします。退院後もリハビリが必要になるので、長期間を想定して治療を受ける必要があります。

関節リウマチの手術療法

滑膜切除術

滑膜切除術とは、痛みの原因でもある腫れた滑膜を取り除く手術です。部位によっては鏡視下で行われ、大きな切開を伴わないため術後の回復が早いのが特徴です。リハビリ開始から2週間ほどで日常生活を送れるようになります。

ただし、滑膜切除術は、あくまで腫れや痛みの改善のために行われる手術であり、関節リウマチそのものの進行を抑制することはできません。

人工関節置換術

変形性膝関節症と同様に、関節リウマチの手術でも人工関節置換術が行われます。手術を検討している関節リウマチの患者さまの多くが人工関節置換術を行いますが、症状によっては滑膜切除術が選択されることもあります。

まとめ

手術療法は、保存療法と比べ痛みを根本から改善することができますが、その分身体や日常生活への支障もあります。メリット・デメリットを理解し、適切な手術を受けられるよう医療機関と相談しながら慎重に選択することが大切です。

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