再生医療とは
再生医療とは、人が持っている自然治癒力を生かした新しい治療法のことです。自分の血液や細胞を利用して、ケガや病気で損なわれた組織を根本から修復します。
病気の根本治療を目指せるだけでなく、体への負担が少ないというメリットから、革新的な最新治療として注目されています。「保存療法で期待する効果が得られなかった」、「なるべく手術はしたくない」といったお悩みを抱えている方に有効な治療法です。
再生医療のメリット・デメリット
メリット
再生医療の最大のメリットは、副作用のリスクが低いことです。自身の血液や細胞を使用するため、拒否反応が起こるリスクが少なく、大きな切開を伴わないことから身体的負担も少なく済みます。
デメリット
再生医療は保険適用外の治療となるため、治療費が全額自己負担となります。通院回数は少ないものの1回の治療にコストがかかるのがデメリットです。また、生きた細胞やウイルスを扱うため、感染症罹患やアレルギー反応などのリスクも考えられます。
幹細胞治療
幹細胞とは、損なわれた組織を修復するための細胞のことです。
出血したときに止血する血小板や、菌から体を守る白血球など、体内の臓器にはそれぞれの役割をもった細胞が存在し、それらをまとめて体細胞といいます。そして、その体細胞の元となるのが幹細胞です。幹細胞は、手を切って出血したり、風邪を引いて菌が体内に侵入したりするときなどに血小板や白血球に変化し、組織を修復する手伝いをします。この幹細胞がもっている修復力や再生力を利用し、損傷した関節機能の回復を目指す治療法が幹細胞治療です。
幹細胞はお腹やお尻の皮下脂肪から採取できます。局所麻酔下での手術で、注射もしくは5mm程度の切開で済むため、傷跡も残りにくいです。採取した幹細胞を抽出・培養し、患部に注射することで修復作用や抗炎症作用を発揮します。効果には個人差がありますが、早い人で治療後2週間、遅くとも半年以内には効果が現れることがほとんどです。
PRP療法
PRPとは多血小板血漿（たけっしょうばんけっしょう）の略称で、血小板を凝縮して活性化させたもののことです。
血小板には炎症を抑えながら組織を修復する「抗炎症性サイトカイン」という成長因子が含まれており、傷ついた組織の修復を促します。その血小板の抗炎症力や修復力を利用した治療法がPRP療法です。幹細胞治療と同様に、細胞を採取して行う治療法ではありますが、幹細胞治療がより再生力に特化し、PRP療法が修復力に特化しているという違いがあります。
PRPは採取した自身の血液を遠心分離にかけることで抽出できます。抽出したPRPを患部に注射することで、壊れた組織の修復や痛みの軽減が期待できます。入院や手術の必要がなく、日帰りでの治療も可能です。個人差はありますが、治療後約2週間～3ヶ月程で効果が現れはじめます。
PFC-FD™療法
PFC-FD™療法は、PRP療法を応用した治療方法です。
PRP療法と比べて、血小板内の成長因子を安定して高濃度抽出できるため、成長因子が約2倍増えると言われています。また、加工過程でPRPをフリーズドライしているため常温保存ができ、患者さまの都合に合わせて治療を進められることがメリットもあります。PRP療法よりもより高い効果が見込める治療法です。
PFC-FD™を注入する際には、生理食塩水で溶解してから注射します。PRP療法と同様に、入院や手術の必要はありませんが、加工工程に時間がかかるため、採血から施術まで約3～4週間の時間を要します。個人差はありますが、治療後約2週間～3ヶ月程で効果が現れはじめます。
ＡＰＳ療法
APS（Autologous Protein Solution）とは、自己タンパク質溶液の略称です。自分の血液から抽出したPRPの中から、炎症を抑える良質なタンパク質と軟骨を保護する成長因子を高濃度でさらに抽出したもののことを指します。
PRP療法と同様に、抽出したAPSを患部に注射することで、痛みの軽減や軟骨の変性抑制などの効果を発揮します。APSはPRPより抗炎症効果が高く軟骨の変性も抑制するため、「次世代のPRP治療」としてその効果に多くの注目が集まっています。
効果は治療後約2週間～3ヶ月程で現れはじめ、半年～最長2年程効果が持続すると言われています。日常生活での活動量の差、もともとの血小板の量の違いなどにより、効果や持続期間には個人差が生じます。
まとめ
再生医療は、糖尿病や心臓病、癌などの疾患に対する治療法として近年広く実用化され始めています。保存療法で期待する効果が得られなかった方や手術を検討している方は、再生医療での治療を選択肢として取り入れてみてはいかがでしょうか？
