変形性股関節症

変形性関節症ってどんな病気?

変形性関節症とは、関節のクッションである軟骨がすり減ることで、軟骨の破壊、軟骨・骨の変形を引き起こし、慢性的な関節炎を伴う関節疾患です。

股関節で起こる変形性関節症のことを「変形性股関節症」と呼び、症状が進行すると、痛みが強くなることで持続痛(常に痛む)や夜間痛(夜寝ている間も痛む)にも悩まされます。また、日常生活では、股関節の可動域が制限されるため起立や歩行にも大きな影響を与え、QOL(生活の質)の低下を招きます。

どんな人が発症しやすい?

変形性股関節症は、女性の発症が圧倒的に多く、発症年齢は40~50歳が多い疾患です。その原因としては、生まれつき骨盤の被りが浅い「臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)」がほとんどを占めています。多くの場合、臼蓋形成不全の症状が緩やかに進んでいくことで発症します。

ただし、生まれつき臼蓋形成不全の方のなかには、20代以下の若年でも痛みを発症することもあります。

変形性股関節症が起こるメカニズム

股関節とは、脚の付け根の関節のことです。大腿骨(だいたいこつ)と、これを覆う寛骨臼(かんこつきゅう)から構成され、それぞれの表面には軟骨があります。

臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)による股関節の先天的な奇形、または加齢などにより軟骨表面がすり減ることで、関節への負担から関節炎を発症します。さらに軟骨のすり減りが進行し、骨同士がこすれるようになると、徐々に骨そのものが変形しはじめます。

骨のへりに骨棘(こつきょく)と呼ばれるトゲのような突起物が生じるなど、関節の滑らかな動きが阻害され、やがて安静時や睡眠時にも激しい痛みを伴います。

変形性股関節症の初期症状~末期症状まで

変形性股関節症は時間をかけてゆっくりと進行していきます。その進行程度には初期、進行期(中期)、末期の3段階があり、早い段階から治療を開始することで進行を遅らせることができます。

初期:軽度の痛みが生じ、なんとなく違和感がある

関節の軟骨が軽度に摩耗し、股関節になんとなく違和感が出始めます。長時間の歩行や運動後に股関節に痛みを感じたり、おしり、太もも、ひざにもこわばりや痛みを生じたりし、多くの場合変形性股関節症だと気づきません。

初期症状の治療としては、関節に負担をかけないよう減量の実施や、痛み止めを内服したりなどの保存療法が中心です。

進行期(中期): 持続的な痛みが伴い、関節が動かしにくい

関節軟骨の摩耗・変形が進行し、関節同士の隙間が狭くなります。骨のへりにトゲのような突起物(骨棘:こつきょく)が生じる、また、骨に穴があいてしまう(骨嚢胞:こつのうほう)などの症状も現れ、痛みが慢性化します。

この時期になると、股関節の可動域が狭くなるほか、脚の筋力低下や歩行障害が起こりはじめます。痛み止めの服用による薬物療法、温熱療法に加え、筋力強化訓練が主な治療法です。また、痛みが強い場合には、人工股関節置換術も行われます。

末期:激しい痛みを伴い、起立や歩行が困難に

末期になると、関節軟骨がほとんどなくなり、関節同士の隙間もない状態です。股関節の変形が目立ち、筋力も低下することでおしり・太ももは細くなり、脚の長さにも左右差が生まれます。安静時にも痛みを伴い、股関節の動きが著しく悪化します。

主な治療法として人工股関節置換術が用いられ、大幅な痛みの軽減や歩行改善が期待できます。

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