大腿骨頭壊死ってどんな病気?
大腿骨頭壊死とは、大腿骨の先端にあるボールの形をした「大腿骨骨頭」が、血流が途絶えることにより壊死することです。血が通わなくなると骨の修復能力も失うため、一部の骨組織が死んだ状態ですが、基本的に壊死部位が拡大することはありません。
大腿骨頭壊死は、20~40歳代での発症が多く、比較的若年層でかかりやすい病気といえます。
壊死範囲が狭い場合には痛みを感じないことも
骨の壊死が生じても、壊死の範囲が小さい場合には痛みを生じないこともあります。壊死の範囲が大きかったり、発症部位が悪かったりすると、壊死した部分が次第に圧潰して、強い痛みを伴います。このような状態を「大腿骨頭壊死症」と呼びます。
大腿骨頭壊死の発症原因
大腿骨頭壊死は、骨頭に血流障害を生じるような外傷(大腿骨頚部骨折や外傷性股関節脱臼)、骨盤部の放射線治療、減圧症(潜水後など環境圧の低下により血管内に気泡が発生する状態)などを原因に起こる病気です。このような発症原因が明らかなタイプを「二次性(続発性)大腿骨頭壊死」といいます。
一方、はっきりとした原因が分からないままに発症するタイプを「突発性大腿骨頭壊死」といい、こちらは難病指定されています。考えられる原因には、長期間のステロイド剤投与や多量のアルコール飲酒などがあります。
大腿骨頭壊死の主な症状
壊死した部分がつぶれると、つぶれた部分から出血やむくみが起こり、強い痛みを伴います。初期症状では、歩行時や階段昇降時に、股関節に軽度の痛みや違和感を覚える程度ですが、進行すると体重負荷がかかる運動時はもちろん、安静時にも痛みが持続します。
痛みを感じたら関節変形の合図かも
骨頭壊死を放置すると、体重負荷などに耐え切れなくなり、骨頭圧潰に伴い痛みを生じます。初期の頃には軽度の痛みが発生しますが、数週間で痛みを感じなくなることもあります。
ただし、骨頭圧潰がさらに進行すると、のちに再び痛みが生じるケースもあるため注意が必要です。運動時に股関節に違和感を覚える、また痛みが増すなどの症状は、やがて関節の変形や障害につながるほか、長期化すると軟骨損傷により変形性関節症を発症するリスクも高まります。
大腿骨頭壊死の治療法
骨頭壊死は、血流が途絶えて骨が死んでしまった状態のため、薬剤投与での回復は見込めません。そのため、手術中心の治療になりますが、壊死範囲によって慎重に手術法を選択する必要があります。
壊死範囲が狭い場合には、患者さまの大腿骨温存のため「血管付き骨移植術」を、壊死範囲がやや広めの場合には、「骨切り手術(骨を切って骨頭にかかる体重負荷部分をずらす)」が行われます。ただし、骨切り手術は、技術的難易度が高く、術後回復に時間がかかることから慎重な判断が必要です。また、壊死範囲がさらに広く、関節変形を伴う病態であれば、人工関節置換術が選択されます。