手術療法

肩関節の病気の手術療法について

肩関節の手術療法では、疾患にかかわらず、共通の手術法として「人工関節置換術」があります。その他、「変形性肩関節症」「関節リウマチ」「腱板断裂」の疾患ごとに、異なる手術法が適用されます。

人工関節置換術

人工肩関節置換術は、病気によって変形や破壊が進んだ肩関節を、金属、セラミック、ポリエチレンなどで作られた人工関節に置き換える手術です。「変形性肩関節症」「関節リウマチ」「腱板断裂」のどの疾患でも、症状が進行した場合に選択されることがあります。

人工肩関節置換術は、以下の3つの術式があります。

人工肩関節全置換術

人工肩関節全置換術とは、肩関節の上腕頭骨と肩甲骨関節窩の両側を人工関節に置き換える手術です。痛みの原因となっている患部を取り除き、上腕頭骨にはボール状、肩甲骨関節窩にはソケット状の人工関節を取り付けることで、痛みの解消や関節機能の改善を目指します。

人工骨頭置換術

人工頭骨置換術とは、上腕頭骨のみを人工関節に置き換える手術です。以下のような場合は、人工頭骨置換術を採用することがあります。

リバース型人工肩関節置換術

リバース型人工肩関節置換術とは、2014年に認可を受けた比較的新しい人工肩関節置換術です。人工肩関節全置換術と同様に、上腕頭骨と肩甲骨関節窩の両側に処置を施しますが、上腕頭骨にソケット状、肩甲骨関節窩にボール状の人工関節を取り付けます。腱板機能が大きく損なわれていたり、粉砕の強い骨折が発生していたりするケースでも対応可能な手術です。

ただし、リバース型人工肩関節置換術では、術後三角筋のマヒや筋力低下がみられたり、頸椎や首に病気が合ったりする場合には、手術をしても思うように肩が上がらないこともあります。また、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)など骨が弱っている方は、医師に相談したうえで慎重に判断するようにしましょう。

関節リウマチ

関節リウマチの手術には滑膜切除術があります。

滑膜切除術

滑膜切除術とは、リウマチの痛みの原因である滑膜を切除する手術です。薬物治療の質が高まった近年では、滑膜切除術の必要性は大きく減少しましたが、手術を行うことで術後の治療薬の量を減らすことが可能です。

腱板断裂

腱板断裂の手術には鏡視下腱板修復術があります。

鏡視下腱板修復術

関節鏡視下腱板修復術とは、切れた腱板をもとの位置に戻し縫い付けることで、症状の改善を目指す手術です。3~4カ所を1cmほど切開し、内視鏡や手術器具を挿入して処置を行います。切開する範囲が小さいため体への負担が少なく、自身の腱を用いるため感染症などのリスクも少ないというメリットがあります。

ただし、術後しばらくは腱板が再断裂しやすく、その場合は再手術が必要です。また、術後は患部を固定する必要があるため、シニアの方は筋力の低下や関節のこわばりなどにより、回復に時間がかかることもあります。

相談できる
医療機関
を探す

日本全国からあなたに合った医療機関を探すことができます。

都道府県から探す

地図から探す

フリーワード検索

地域名や医療機関名など、お好きな単語で検索することができます。