【医師監修】再生医療等安全性確保法とは?法改正の理由と内容について詳しく解説

再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療等安全性確保法)が改正されていることをご存知でしょうか。本記事では再生医療関連法の概要とその改正理由について詳しく解説します。

そもそも「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療等安全性確保法)」とは?

「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療等安全性確保法)とは、平成25年11月27日に公布、平成26年11月25日に施行された比較的新しい法律です。細胞等の採取等の実施手続きや、再生医療等を提供する医療機関の基準、細胞を培養・加工する施設の基準等を規定しています。

再生医療等安全性確保法は、再生医療を日本国民が迅速かつ安全に受けられるようにするため、そして再生医療の研究開発から実用化までの施策の総合的な推進を図るために公布・施行された法律です。細胞培養加工については医療機関から企業への外部委託を可能にし、必要な再生医療を迅速に届けられるようにしています。

さらに、再生医療等安全性確保法では安全性を高めるため、リスクによって分けられた三段階それぞれの提供基準と計画の届出等の手続き、細胞培養加工施設の基準と許可等の手続きについても定めています1)

再生医療等安全性確保法の改正理由と内容

令和6年3月5日の第213回国会で、再生医療等安全性確保法の改正案が内閣に提出されました。現行法から大きく変更、または追加される内容は下記の2点です。

  1. 原稿の再生医療関連法の適用対象への細胞加工物を用いない遺伝子治療等の追加
  2. 認定再生医療等委員会に対する立入検査等の規定の整備

上記について、改正が検討されるに至った理由と、改正内容について詳しく解説します。

適用対象の追加

現行の再生医療等安全性確保法は、「細胞加工物」が適用対象となっています。この細胞加工物とは、「人又は動物の細胞に培養その他の加工を施したもの」を指します1)

今回の改正案では、細胞加工に加えて「核酸等」も適用対象とされています。一般的に「核酸」とは、デオキシリボ核酸(DNA)とリボ核酸(RNA)の総称とされています。生物を構成するたんぱく質はDNAの遺伝情報に基づいて合成されるため、生命活動には欠かせないものです2)

一方、改正案で取り上げられた「核酸等」とは、「人の体内で当該人の細胞に導入される核酸並びに核酸及びその他の遺伝子の発言と密接な関係を有する物を加工するための機能を有する物(これらを含有する物を含む)」を指します3)

今回の改正案提出の背景には、遺伝子治療の発展が大きく関わっているといえるでしょう。現行法では細胞加工物の介在しない遺伝子治療(in vivo遺伝子治療)は適用対象となりません。つまり、遺伝子を改変した細胞や改変した遺伝子を導入した細胞を投与することしかできないのです。

改正案では「核酸等」が適用対象となるため、核酸そのものを人の体内に投与したり、特定の塩基配列をターゲットとして遺伝子を改変したりと、直接遺伝子にアプローチする遺伝子治療について具体的な規制や安全性の確保対策について検討されることがうかがえます4) 5)

認定再生医療等委員会について

再生医療の安全性を確保するための重要な役割を果たしている機関が、「認定再生医療等委員会」や「特定認定再生医療等委員会」です。

リスクの低い第3種再生医療等は認定再生医療等委員会での審査が必要です。特定認定再生医療等委員会は認定再生医療等委員会よりも高い審査能力や第三者性を有し、中~高リスクの第1種再生医療等または第2種再生医療等の審査を行います1)

現状、認定再生医療等委員会や特定認定再生医療等委員会については、その審査の質やかかる時間にばらつきが生じています。一定の安全性が確保されているとはいえないのが実態です5)

今回の改正案での「認定再生医療等委員会に対する立入検査等の規定の整備」の追加は、委員会ごとの審査の質を一定にし、安全性を確保する目的があるといえるでしょう。また、認定再生医療等委員会が適切に審査を行えるよう、一定のガイダンスを示すことも検討されています3)

再生医療等安全性確保法にかかわる法律の改正

現在、再生医療等安全性確保法と同時進行で「臨床研究法」の改正も検討されています。

人に対する研究で再生医療等製品を用いる場合、再生医療等に該当するならば再生医療等安全性確保法が、該当しないならば臨床研究法が適用されます。

「再生医療等製品の有効性又は安全性を明らかにする研究」は、臨床研究法の「臨床研究」に該当します。また、臨床研究のうち、承認を受けていないものを用いる場合や、承認を受けていても承認とは異なる用法・用量で用いる場合(適応外使用)は「特定臨床研究」に該当します5)

今回の臨床研究法の改正では、医薬品等(医薬品、医療機器、再生医療等製品)を適応外使用する場合、承認された用法・用量等とリスクが同程度であれば、特定臨床研究の枠組みから外すことが検討されています6)

この臨床研究法の法改正事項を踏まえ、現行法では再生医療等安全性確保法の対象となっている適応外再生医療等製品を使用する医療も、再生医療等安全性確保法の範囲から除外されることが検討されています。なお、リスクの判断については、厚生科学審議会(再生医療等表部会)による検討が行われるとされています3)

再生医療等安全性確保法にかかわる過去の法律の改正

再生医療等安全性確保法と同時に成立・公布・施行された法律として、「薬事法改正法」が挙げられます。再生医療等安全性確保法は自由診療と臨床研究について、薬事法改正法では製造販売について規定しています。

それまでの薬事法には再生医療等についての記載がありませんでした。しかし、再生医療等安全性確保法にともない、再生医療の実用化に対応できるよう、再生医療等製品の特性を踏まえた承認・許可制度を新たに設けるため、改正が行われたのです。

具体的には、再生医療等製品の特性に応じた早期承認制度の導入が挙げられます。また、患者への説明と同意(インフォームド・コンセント)、使用の対象者に関する事項の記録・保存など、市販後の安全対策についても規定されています。多くの再生医療等製品を、より早く必要な方のところへ届けるための改正といえるでしょう1)

より安全に再生医療を受けられるよう、再生医療等安全性確保法が改正される!

再生医療等安全性確保法は、国民が迅速かつ安全に再生医療を受けられるようにするための法律です。今回の改正では、遺伝子治療等の適応対象の追加と、安全性を保つための規定の新設が検討されています。今後の再生医療の発展を期待しましょう。

医師コメント
再生医療等安全性確保法は、日本における再生医療の安全性と信頼性を確保するための法律です。2014年に施行され、再生医療製品の臨床応用に際して、安全性や有効性の確認を強化することを目的としています。法改正の理由は、再生医療の急速な進展に伴い、その安全性と信頼性を保証する必要性が高まったためです。法改正では、再生医療製品の製造・販売に関する厳格な規制が導入され、安全性や有効性の確認が十分に行われるようになりました。
また、再生医療製品の使用に関する情報の公開や、患者の安全を保護するための措置も強化されました。これにより、再生医療の発展と患者の安全を両立させる体制が整備されました。
医学的には、再生医療の技術は非常に有望であり、多くの疾患や障害に対する新たな治療法を提供する可能性があります。しかし、その安全性と信頼性を確保することは極めて重要です。再生医療等安全性確保法の改正は、この重要な課題に対処するための一歩として位置付けられます。

【参考】
1) 厚生労働省 「再生医療等の安全性の確保等に関する法律について」
2) ヤマサ醤油株式会社 医薬・化成品事業部 「核酸とは」
3) 衆議院 「●再生医療等の安全性の確保等に関する法律及び臨床研究法の一部を改正する法律案」
4) 厚生労働省 第91回再生医療等評価部会 「【報告事項】再生医療等安全性確保法の見直しについて」
5) TMI総合法律事務所 「【ヘルスケア】再生医療等安全性確保法の改正について」
6) 厚生労働省 第34回臨床研究部会 「臨床研究法の見直しについて」

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