【医師監修】X脚(外反膝)の原因とは?O脚との違いやリスク、治療法を解説

X脚(外反膝)とは、両膝が内側に彎曲(わんきょく)、つまり変形した状態のことです。見た目だけの異常と思われがちですが、変形が進むと病気に発展するリスクもあります。そこで、本記事ではX脚になる原因をはじめ、リスクや治療法について詳しく解説します。

X脚(外反膝)とは?

X脚(外反膝)は、下肢の形態的異常のひとつです。両膝が内側に彎曲した状態で、膝の内側をそろえても左右の内くるぶしがつきません(ニーイン・トゥーアウト)。

幼児期に見られることが多いですが、成人になってから見られるケースもあります1)。女性に多いことも特徴のひとつです2)

X脚の原因

そもそも、X脚には生理的な変形と病的な変形があります。

成長途中に一時的に生じるX脚を含め、生来の筋力のバランスの問題や運動不足などによる左右対称のX脚を生理的なものと位置付けています。痛みや機能障害などはないため、基本的に治療は不要です。

一方、怪我や関節・靭帯の疾患などが原因となっているX脚は病的な変形として扱われます。とくに片側にのみX脚を生じた場合は、病的な変形である可能性が高くなります1)

また、くる病/骨軟化症もX脚の原因のひとつです。くる病/骨軟化症は体内のリンやカルシウムの不足により起こる病気です。

くる病/骨軟化症は、大きく次の3つのタイプに分けられます3)

くる病/骨軟化症には、血液中のリンやカルシウムの濃度を調節するビタミンDが深く関わっています。ビタミンDの摂取量の減少により起こるのが「ビタミンD欠乏性くる病/骨軟化症」で、ビタミンDが体内で機能していない場合に起こるのが「ビタミンD依存性くる病/骨軟化症」です。ビタミンD依存性くる病/骨軟化症は、遺伝性の疾患と考えられており、難病に指定されています4)

リンは骨の石灰化に欠かせないミネラルのひとつです。リンの摂取不足や腎臓での再吸収の障害により、血中のリンの濃度が低下してしまうと、くる病/骨軟化症を発症する場合があります。なかでもFGF23(線維芽細胞増殖因子23)の過剰賛成によるFGF関連低リン血症性くる病/骨軟化症は、「ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症」と呼ばれ、難病に指定されています5)

X脚とO脚の違い

O脚(内反膝)も、X脚同様、下肢の形態的異常のひとつです。

X脚とは逆に、両膝が外側に彎曲しており、左右の内くるぶしをそろえても左右の膝の内側がくっつきません。

乳幼児の脚は一般的にO脚で、歩きはじめるようになると徐々に外反していきます。2~6歳にかけてX脚傾向になりますが、7歳ごろになると成人と同じ約4度の外反に近くなります1)

X脚のリスク

X脚の初期段階では、見た目だけの変化に留まります。しかし、変形が進むにつれて、痛みや下肢の不安定感など、機能的な障害を呈する場合があります1)。また、股関節や足首など、下肢のほかの部位の痛みの出現にもつながります。

適切な治療を受けないままX脚を放置すると、姿勢や筋力のバランスが崩れ、変形性膝関節症や鵞足炎、足底腱膜炎、外反母趾などの病気に発展することも。

変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減って変形し、激しい痛みを生じる病気です。多いのは加齢による膝の軟骨の摩耗ですが、X脚では脛骨が捻じれるような力が加わりやすくなるため、歩行や膝の曲げ伸ばしなどによりX脚でない人と比べて軟骨がすり減りやすくなります。変形が進むと日常生活に支障をきたし、場合によっては人工膝関節置換術の適応となることもあります2) 6)

変形性膝関節症について詳しく知りたい方は、「【医師監修】膝の痛みの原因は?考えられる疾患や治療法を解説」「【医師監修】膝関節が痛い原因は?セルフケア方法や病院での治療法を紹介 」もあわせてご覧ください。

鵞足炎(鵞足滑液包炎)は、膝の動きにともなう痛みです。縫工筋や薄筋、半腱様筋など膝の動きに関わる筋肉が付着する鵞足という部分に痛みが生じます。X脚では大腿骨と脛骨に捻じれるような力が加わることで起こると考えられています6) 7)

足底腱膜炎は足のアーチが崩れて起こる病気です。足底が地面に着地する際の衝撃をうまく吸収できなくなり、歩行などの日常動作の繰り返しによって、足底腱膜に小さな断裂が生じ、痛みをともなう炎症が起こります6)

外反母趾は足の親指が小指側に向かって変形し、痛みを生じる病気です。親指の付け根の痛みや腫れ、靴に親指の付け根が当たるなどの症状を呈します6)

X脚は早期ならば、手術なしでの改善も期待できる病気です。両膝をくっつけてまっすぐ立ったときに両くるぶしが離れてしまっている場合は、X脚の疑いがあります。気になる場合は、専門の医師へご相談ください。

X脚の治療法

生理的なX脚は、治療の必要はありません。

病的なX脚の場合は、変形の程度によって治療法が異なります。変形が軽度の場合は保存的治療が選択されますが、装具による治療の効果については、整形外科医の中でも意見が分かれています。

高度な変形の場合は、手術療法の適応となります。小児や若年の場合は、骨切り術が選択されますが、変形の状態によっては一時的に骨端線を閉鎖することを目的として内側にstapleを挿入する固定術が行われることもあります1)。高齢者の場合は、骨切り術や人工膝関節置換術などが選択されます。

また、X脚の痛みの改善を目的として、PRP-FD療法や脂肪幹細胞治療などの再生医療を受けることも可能です2)。ただし、X脚が改善するわけではなく、対症療法に留まる点や、すべて自費負担となる点には注意が必要です。

X脚の予防法・改善法

ご自身でできるX脚の予防法・改善法を4つ紹介します。

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

くる病の予防

ビタミンD欠乏性くる病/骨軟化症によるX脚は、ビタミンDの補充で予防できます。ビタミンDを多く含む魚や卵、キノコ類などを積極的に摂りましょう。また、ビタミンDは紫外線に当たると皮膚で合成されるため、適度な日光浴も有効です8)

筋力トレーニング

X脚の予防には、筋力トレーニングも有効です。骨盤の過度な前傾の予防につながる大殿筋を中心としたおしりや、脚全体の筋力トレーニングがおすすめです2) 6)

ストレッチ

X脚で固くなりやすい脚の内側の筋肉を、ストレッチで伸ばすこともX脚の予防・改善につながります。うつぶせで片脚ずつ平泳ぎのように横にスライドさせる「カエルポーズ」ストレッチがおすすめです。無理のない範囲で行いましょう。

姿勢の改善

姿勢の乱れは、筋力低下によるX脚を引き起こす原因のひとつです。

とくに、座っているときに脚を組んでいると、骨盤が後傾する時間が長くなり、股関節まわりの筋力の低下につながります。座るときは骨盤を立て、左右の坐骨に均等に体重がのるよう意識しましょう。

また、足元のファッションの見直しも重要です。普段からハイヒールを履く習慣があると、つま先に体重がかかって足のアーチが崩れ、足裏の筋力が低下してしまいます。足裏全体に均等に体重をのせられるスニーカーなどに変更するだけでも、X脚の予防につながります。

X脚は軽度のうちに医療機関へ相談を

X脚には生理的なものと病的なものの2種類があります。生理的なX脚ならばそれほど気にする必要はありませんが、成人以降に発症した場合や片側のみに現れた場合には注意が必要です。軽度の変形のうちならば、手術せずに治療することも可能です。もしも脚の見た目の違和感に気付いたら、速やかに専門の医師にご相談ください。

先生からのコメント
X脚はO脚と比べて少ない病気なので見逃されやすいですが、ひどくなると手術が必要になることがあります。ここではそれを予防するための、ストレッチ方法をご説明します。

1.床に座ります。両足を伸ばし、足の指を上に向けます。
2.右足を左足の上にクロスさせます。左足の外側に、右足のかかとがくるようにします。
3.両手を使って、体の正面にある両足の足首を軽く押すようにします。右足のストレッチを感じるまで、徐々に押し込んでいきましょう。
4.継続的に押し込んでいく内に、右足の内側や太ももに伸びを感じるはずです。この状態で15〜30秒ほどキープします。
5.同様に反対の足でもやってみましょう。

無理な力を加えずに、自分の体調や柔軟性に合わせて行ってください。
これを繰り返しても痛みが続く場合は、整形外科の受診をしてください。

【参考】
1) 公益社団法人 日本整形外科学会 症状・病気をしらべる 「O脚・X脚」
2) 表参道イーグルクリニック X脚(外反膝)とは?ひざ痛の原因!治し方も解説!
3) 協和キリン株式会社 くるこつ広場 くる病・骨軟化症の3つの原因と疾患
4) 公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター ビタミンD依存性くる病/骨軟化症(指定難病239)
5) 公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症(指定難病238)
6) 医療法人社団弘人会 中田病院 症状別コラム X脚とは?原因や診断、予防法について解説
7) 医療法人社団弘人会 中田病院 症状別コラム 膝の内側の痛みについて
8) 一般社団法人 日本小児内分泌学会 くる病

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