【理学療法士監修】おしりや太ももの横幅が気になる?大転子(だいてんし)が張り出す原因とセルフケア方法

洋服を試着する時、ウエストは余裕があるのにおしりや太ももだけきつく感じることはありませんか? あるいは上半身と比較しておしりや太ももが横に広く出ているように感じたりすることはありますか?

もしかしてそれは大転子(だいてんし)が張り出しているのかもしれません。ここでは大転子が張り出しているかどうかのセルフチェック方法や大転子が張り出してしまう原因、大転子を引っ込めるためのセルフケア方法まで紹介します。大転子を引っ込めるには早めのケアが大事ですので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。

大転子(だいてんし)とは?  

大転子は、太ももの付け根にある少し出っ張った骨のことです。大腿骨の一部で、触ると少し出っ張っているのでわかる人もいるかもしれません。股関節を構成する大事な場所のひとつで、常に安定した位置に保たれるように、中臀筋・小臀筋・梨状筋などの筋肉や靭帯に支えられています。

大転子が張り出すとどうなる?    

大転子が張り出すと、太ももの横幅が出るので、スキニーパンツやタイトスカートを履いたときにウエストは余裕があるのにお尻や太ももがきつく感じたり、お尻が平らになったり、ダイエットをしても太ももだけ痩せなかったりして、足のラインに悪影響を及ぼします。また、美容的な観点だけではなく、大転子が出っ張っていると腸腰筋など下半身の筋肉が緊張して血行不良が起こるので、前ももが張ったり下半身がむくみやすくなるなどの悩みにもつながります。血行が悪くなるため、太りやすくなるとも言われています。

大転子の張り出しをセルフチェック1)      

大転子が正常な位置かどうかセルフチェックしてみましょう。ちなみに、大転子は正常な場合でも多少は出ていますので、左右差などに着目してください。

セルフチェック項目異常なし大転子が張り出している疑いあり
①足を揃えてまっすぐ立つ左右のひざの内側と内くるぶし、両方ともつくどちらかがつかない、両方つかない
②鏡の前で足のラインを見る左右同じようなライン左右のラインが違う
骨盤より外側に張り出している
③手で骨盤の側面を触って骨盤の位置の左右差を確認する左右同じような位置高さや前後の位置にズレがある
④片足立ちをして左右差を確認する右足も左足も安定している片足だとぐらぐらする

大転子が張り出す原因2)

大転子が正常な位置から張り出してしまうのはなぜでしょうか? そこにはいくつかの原因があります。

骨格の歪み        

妊娠や出産によって骨盤が大きく開くと、骨盤にすっぽりハマっているはずの連結部分が緩みやすくなり、大転子が張り出す原因になります。骨盤の歪みは、妊娠や出産だけではなく、姿勢や座り方のクセが蓄積して起きることもありますので、ご自身の姿勢や座り方を見直すことも大切です。

姿勢や座り方

猫背の人や反り腰の人は、日常生活でおしりの筋肉をあまり上手に使えていない可能性があり、大転子がだんだんと外側を向いてくることがあります。おしりの筋肉を使えていない分、太ももの前側の筋肉に負担がかかっていることが多いので、前ももを触ってみて硬く張っていたら大転子が張り出している可能性があるでしょう。

また、横座りをしている人や足を組むクセがある人、背もたれに寄りかかりがちな人は内股になりやすい傾向があります。内股になると太ももの骨が内側にねじれた状態になり、大転子が張り出す要因になります。内股で歩くと骨盤が前傾しやすくなり、さらに内股が進行していくという悪循環もよく見受けられます。

骨盤周辺の筋力低下   

骨盤の周辺には、大臀筋・中臀筋・小臀筋、内部に深層外旋六筋があり、正しい姿勢を維持したり、骨盤や内臓の位置を正常な状態に保っています。これらの筋力が低下すると大転子が張り出してしまう原因になります。とくに、深層外旋六筋は骨盤の真ん中にある仙骨と大転子をつないでいるので、この筋肉をしっかりと使えるようにすることが大切です。

また、骨盤まわりではありませんが、太ももの前側と後ろ側の筋力バランスが悪い場合も大転子が外側に張り出す要因になります。筋力のアンバランスを解消し、前後で筋力バランスのいい身体作りが大切です。

まれに遺伝の可能性も

子どもの頃から大転子が張り出している場合は、遺伝が原因の可能性があります。ただ遺伝であっても姿勢や歩き方や座り方を正しく変えていくことで、さらに張り出していくのを防ぐことができます。

大転子を引っ込めるためのセルフケア 3)

大転子が張り出している場合、無闇に筋トレや有酸素運動を行ったり、マッサージやダイエットをしても根本的な解消にはなりません。正しいセルフケアで骨盤や周辺筋肉の歪みなどを整えることで徐々に改善が見込めます。ここでは自分でできるケア方法をいくつかご紹介します。

正しい姿勢を心掛ける

立っているときは、全体の重心が骨盤にくるように、おしりを締めてお腹の内側に力を入れます。骨盤が前傾や後傾しないように意識しながら、無駄な力みをなくしつつ、頭の上から系で釣られているように耳からかかとまでがまっすぐになるようなイメージで立ちましょう。胸を張るのではなく肩甲骨を軽く寄せるようにすると、体が安定しやすくなります。足は骨盤の幅に開き、つま先は少し外側を向けます。内股にならないように気を付けましょう。

なお、学校で教わった「気をつけ」の状態にすると、自然と反り腰になってしまう場合があるので注意しましょう。

正しい歩き方を心掛ける

大転子が張り出している人は、外体重で歩いていることが多く見受けられます。足をまっすぐに使うために、以下のことを意識しましょう。

・下腹部のインナーマッスルに力を入れる

・つま先はまっすぐ向ける

・膝が内側に入らないようにする

・かかとから着地する

・顎を引き前を見る

・肩には力を入れずに自然と腕を振る

正しい姿勢でウォーキングをすると、骨盤周辺のエクササイズになり、大転子を引っ込める効果も見込めます。歩幅を少し大きくすることでさらに効果が上がるので、ぜひ試してみてください。

正しい座り方を心掛ける

最も大事なのは、骨盤を立てて座ることです。イスに腰掛けたら背もたれにもたれかからずに、左右の坐骨に均等に体重が乗っていることを意識し、坐骨の少し前あたりがイスに当たっているようなイメージで座ると骨盤が立てやすくなります。このとき、腰が反った感じがする場合は骨盤が前傾していて、肛門や尾骨がイスについている場合は後傾している証拠です。角度を整えましょう。膝やひじの角度を90度にすることや、足裏全体をぴたっと床につけることも大切です。

正しい座り方をすると重心が安定し、腹筋を鍛える効果もあります。長時間イスに座っているデスクワークの方には、座り方が骨盤の状態にかなり影響を与えますので、正しい座り方を心掛けましょう。

なお、床に座るときは、骨盤の左右差が生じにくい「あぐら」がおすすめです。あぐらが苦手な方は、おしりの下にクッションやバスタオルを敷くことで座りやすくなります。

大転子を引っ込めるストレッチ ① 内もものストレッチ

骨盤を内側から支える内転筋をほぐすことができるストレッチです。骨盤周辺の筋肉バランスを整えましょう。

1.仰向けに寝て両膝を立てます

2.両膝を無理のない範囲で左右に開いて内ももをゆっくりと伸ばします

3.開いた状態で30秒ほどキープしましょう

大転子を引っ込めるストレッチ②おしりのストレッチ

骨盤と大腿骨をつなぐ梨状筋を伸ばすストレッチです。梨状筋が硬くなると骨盤の動きが悪くなり、左右のアンバランスが生じやすくなります。デスクワーク中でもできますので、休憩のタイミングでストレッチしてみましょう。

1.イスに座った状態で、片足の足首を反対側の膝のうえに載せます

2.背筋を伸ばした状態で、息を吐きながら体を前に倒しましょう

3.おしりの奥の方が伸びている感覚を感じながら、無理のないところで30秒ほどキープします

大転子を引っ込めるトレーニング ①レッグレイズ

腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋、腸腰筋を鍛えることができ、ぽっこりお腹の解消や姿勢改善、腰痛予防に効果を期待できるトレーニングです。とくに腹直筋は姿勢を保つのに重要な筋肉ですので、意識して行いましょう。

1.仰向けに寝転び、両足を伸ばします

2.両手は体の横かおしりの下に敷きます

3.両足のかかとをくっつけて、そのままゆっくりと持ち上げます。腰が浮かないように気をつけましょう

大転子を引っ込めるトレーニング②ヒップリフト

大臀筋やハムストリングを刺激しながら、体幹も強化できるトレーニングです。寝ながらできるので、夜眠る前や朝起きた直後などに気軽にやってみましょう。

1.仰向けに横になり、膝が90度になるように曲げ、膝を立てます

2.両手を体の横におきます

3.足と肩甲骨、頭と手で体を支えながら、おしりを浮かせます

4.膝から肩までが一直線になるように持ち上げたら、ゆっくりとおしりを下ろしましょう

接骨院など専門家を受診するのもあり   

骨盤の歪みがひどいケースや、セルフケアで効果があまり感じられない場合は接骨院や整骨院などを受診し、専門家の施術を受けるのもおすすめです。プロの手で根本的な治療をしてもらえるとともに、現在の体の状態やそれにあったストレッチやトレーニングのアドバイスも受けることができるでしょう。

大転子の張り出しは骨盤の歪みが原因!地道なケアで改善しよう

大転子の張り出しは、姿勢や歩き方、座り方などで骨盤の歪みを直したり、骨盤周辺の筋力バランスを整えることで改善が期待できます。骨格の問題と諦めずにケアしていきましょう。セルフケアで上手く効果が出ない場合は、接骨院などプロの手を借りるのもおすすめです。

【参考】

1)「NAORU」グループ公式サイト「マッサージ」をしない整体院|大転子の出っ張りをチェック!原因からセルフ対処法まで徹底解説

2)今津ぴっと骨盤整体院|大転子が出っ張る理由3)くまのみ整骨院・整体院グループ|大転子の出っ張りの原因は5つ!出っ張りを引っ込めて脚をきれいに見せよう!

3)くまのみ整骨院・整体院グループ|大転子の出っ張りの原因は5つ!出っ張りを引っ込めて脚をきれいに見せよう!

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