【医師監修】足関節の痛みの原因は?対処法や病院に行くタイミングも紹介

足関節の痛みの原因はひとつとは限りません。スポーツによる外傷や足関節炎、変形性足関節症だけでなく、思わぬ病気が隠れていることも。本記事では足関節の痛みを生じる病気を紹介するとともに、対処法と病院に行く目安も紹介します。

足関節とは?

足関節とは足首の関節のことです。脛骨(けいこつ)・腓骨(ひこつ)・距骨(きょこつ)の3本の骨から成る関節で、距腿(きょたい)関節と呼ばれます。さらに、距骨と踵骨から成る距骨下関節、脛骨と腓骨から成る遠位経費関節も足首の運動に関わっているため、運動学的にはこの3つの関節を複合関節として「足関節」と呼んでいます1)

足関節は体重を支える土台の部分であり、衝撃を和らげ、バランスを保つ役割を持っています。一方で、負荷がかかりやすく、外的なダメージも受けやすいため、外傷の多い場所でもあります。

足関節に痛みを生じる病気

足関節に痛みが生じる原因はひとつとは限りません。足関節に痛みを生じさせる代表的な病気を紹介します。

外傷

足関節は負荷がかかりやすく、日常生活を送るうえで外傷を生じやすい部分です。また、スポーツによる外傷も多く見られます。足関節に起きうる外傷のうち、代表的なものを紹介します。

足関節における外傷は、年齢や性別に関係なく起こりえます。軽い怪我として放置されることもありますが、適切な処置をしなければ痛みや腫れが引かなかったり、後遺症が残ってスポーツができなくなったりすることも2)

変形性足関節症

変形性足関節症とは、足関節の軟骨がすり減ることにより、足首の腫れや痛みを生じる病気です。軟骨がすり減る原因は、加齢、過去の骨折や捻挫などの外傷、関節リウマチなどの全身疾患など、さまざまです。進行すると歩行に支障をきたすなど、日常生活にも影響を及ぼします3)

その他の足の病気

足関節に痛みを生じる代表的な足の病気を紹介します。

足底腱膜炎とは、踵骨の下部から指の付け根までの「足底腱膜」という帯状の組織が損傷して痛みを生じる状態です。起床時などの長時間の安静後や、体重をかけた時に、強い痛みを感じることがあります。

足底腱膜炎を生じさせる原因のひとつに、「踵骨棘」というものがあります。踵骨棘とは踵骨から出た余分なとがった骨(骨棘)のことですが、必ずしも痛みを生じさせるわけではありません。踵骨棘ができたばかリの頃は痛みを感じていても、徐々に順応して痛みが軽減することもあるようです4)

成人期扁平足とは、中年以降に発症する偏平足のことです。内果(内くるぶし)の下が腫れ、痛みが生じる病気です。治療をせずに放置しておくと、足の変形が進み、歩行障害に至るおそれもあります。なお、幼児期からの扁平足が残っている場合は、痛みが生じることはあまりありません5)

痛風や関節リウマチでは、炎症による痛み・腫れが生じます。

尿酸値の上昇により関節内に尿酸塩結晶が生じ、その結晶を白血球が処理する際に激しい痛みを伴う痛風発作が生じます6)。痛風発作は足の親指に生じやすいと言われていますが、足関節に生じることもあります。

痛風は女性よりも男性に多く見られることが特徴です。女性ホルモンが体外への尿酸の排出を促進しているため、女性は男性よりも痛風になりにくいと言われています7)

関節リウマチは30~40代の女性に多く見られる病気です。原因は特定されていませんが、自己免疫疾患と考えられています。自分の身体の一部分を自分のものではないと誤認識し、免疫系の細胞たちが攻撃をしてしまうのです。足関節に限らず、全身の関節で進行していくこともあります8)

その他の足以外の病気

足関節の痛みの原因が、足以外にある場合もあります。代表的な例2)を紹介します。

足関節に病変が見つからなかった場合は、整形外科以外の内科などの受診も検討しましょう。

足関節に痛みを感じた時の対処法や病院に行くタイミング

足関節に痛みを感じた場合、まずは痛みの生じた原因や痛みの程度を確認しましょう。外傷など原因がはっきりわかっている場合や、歩行が困難な場合は、すぐに病院を受診してください。スポーツ外傷の応急処置としては、「RICE処置」という4つの処置の頭文字を並べたものが広く知られています9)

外傷でなくとも、痛みとともに赤みや腫れ、熱感などがある場合は、炎症が疑われます。まずは安静にしてください。痛みが強い場合は氷嚢などで冷やし、患部を心臓の位置より高く上げましょう。市販薬の痛み止めを服用する場合は、用法用量を守りましょう。

しばらく安静にしても痛みが緩和しない場合や、痛みが一時的なものではなく慢性的な場合、同じ部分に繰り返し痛みを感じる場合は、整形外科を受診してください。

足関節の痛みに対して病院で行われる検査

足関節の痛みで病院を受診した場合に行われる、代表的な検査10)を紹介します。

炎症がある場合や、足以外に原因が考えられる場合は、血液検査などが行われることもあります。

足関節の痛みの治療法

足関節の痛みを生じている原因によって、治療法は異なります。

アキレス腱断裂などの外傷では、ギプスや装具を用いて治療する保存療法や、手術療法が選択されます。いずれの治療法においても、早期機能的リハビリテーションで回復が短くなるとの報告があります11)

変形性足関節症は、進行度合いによって治療法が選択されます。軽度の場合は装具やインソール、痛み止めなどの内服、ヒアルロン酸の関節内注入などの保存的治療が有効とされていますが、痛みのコントロールが難しいことも。保存的治療が難しい場合は、骨切り術による関節形成術、足関節固定術、人工足関節置換術などの手術的治療が行われます3)

足底腱膜炎から足関節の痛みが生じている場合は、体外衝撃波治療も可能です。アキレス腱炎やアキレス腱付着部炎なども体外衝撃波治療の対象疾患とされていますが、保険適用となるのは足底腱膜炎のみです12)

その他の全身性の病気が原因で足関節の痛みが生じている場合は、原因の疾患の治療が第一に行われます。

外傷や変形性足関節症に対する再生治療

軟骨や靭帯の外傷や変形性足関節症により痛みが生じている場合、「関節再生治療」を選択できることがあります。関節再生治療とは、関節内の炎症の緩和や傷んだ組織の修復を目的とした、自分自身の血液や幹細胞、軟骨を使って行う治療です。薬や注射、リハビリテーションなどの保存的治療や手術療法と組み合わされることもあります。ただし、重度の関節の変形がある場合や、軟骨がほとんど残っていない場合は選択できません13)

外傷や変形性足関節症に効果が期待できる再生治療は、大きく分けて3つあります。

多血小板血漿(PRP)療法とは、自分の血液から成長因子を取り出して関節内に注入する方法です。PRPからさらに細胞を除去し、有効成分を濃縮して抽出したものを使う血小板由来因子濃縮物(PFC-FD)療法という治療法もあります13)

培養幹細胞治療は、自分の脂肪や関節から幹細胞を取り出して培養し、関節内に注入する治療法です。トップアスリートの外傷の治療法として選択されることもあります14)

自家培養軟骨移植とは、関節から軟骨を採取し、培養後に損傷軟骨に移植する治療法です。日本で開発された自家培養軟骨「ジャック」は保険収載されていますが、保険適用となるのは膝関節における外傷性軟骨欠損症または離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)のみです15)

再生治療のメリットは、自己由来の細胞を使っているため、アレルギーなどの副作用が少ない点です。一方で、ほとんどの再生治療は保険適用外となるため、自費負担分が高額になってしまうことがデメリットです。

足関節に痛みを感じたら早めの受診を検討しよう!

足関節の痛みの原因はさまざまです。足関節だけが原因とは限らず、足の病気や全身性の病気が関わっていることもあります。足の痛みを放置すると、いずれは歩行が困難になってしまうことも。もしも歩けないほどの痛みを感じたり、痛みが長く続いたりする場合は、できるだけ早く病院を受診してください。

医師からのコメント

足の病気は様々ありますが、特に足関節捻挫は頻繁に遭遇する疾患です。足関節捻挫とは、足首の関節を支えている靭帯や関節包が損傷することを指しています。スポーツ活動をしている際中や日常生活での歩行時などによく発症する傷害であり、例えば運動習慣を持っている人や普段からよく歩く方などにとっては非常に身近に感じられる疾患であると考えられています。足関節を捻挫して足首の部分に腫れや痛みを認めた場合には、すぐに「RICE」と呼ばれる応急処置を実践することが勧められています。
「RICE」とは、Rest(安静)、Icing(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)のそれぞれの頭文字をとって名付けられた略称です。まずは、患部を動かさずに安静にして本人が楽な姿勢を保持するようにしましょう。次に患部を冷却することが重要であり、ビニール袋などに氷を入れてタオルなどで包み、20分間程度その氷枕を患部にあててアイシングします。
基本的には、足関節捻挫直後や足首の疼痛症状がある場合に受傷後48時間以内では冷却処置、それ以降は冷却あるいは温熱処置を継続するのが良いとされています。また、患部を圧迫することで、皮下組織や靱帯周囲からの内出血を予防するように努めます。医療用テープや副木などを用いて患部を固定してもいいですし、弾性包帯などを使用して患部を圧迫固定しても有用であると考えられています。圧迫する際には、周囲の神経や血管を強く障害されない程度に処置するように心がけて、足先のしびれなどの症状が認められないレベルの強度で圧迫することが肝要です。患部を心臓より高くあげることで、内出血や腫れを防ぐことが出来ますし、足関節の捻挫のケースでは、足の下に枕やクッションを置くことで患部を比較的高い位置に維持することができますのでお勧めしています。

【参考】

1)日本リハビリテーション医学会誌: the Japanese journal of rehabilitation medicine 2016年 53巻 10号 p.779-784
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/53/10/53_779/_pdf

2)一般社団法人 広島県医師会 足関節痛
https://www.hiroshima.med.or.jp/ishi/ikai/seikeigeka/tokucho/1673/

3)東京大学 整形外科学教室 足の病気・けが(変形性足関節症)
http://www.u-tokyo-ortho.jp/outpatient/disease/foot_02.php

4)MSDマニュアル 家庭版 足底腱膜症(足底腱膜炎)
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/08-%E9%AA%A8%E3%80%81%E9%96%A2%E7%AF%80%E3%80%81%E7%AD%8B%E8%82%89%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E8%B6%B3%E3%81%AE%E5%95%8F%E9%A1%8C/%E8%B6%B3%E5%BA%95%E8%85%B1%E8%86%9C%E7%97%87

5)公益社団法人 日本整形外科学会 症状・病気をしらべる 「成人期偏平足」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/adult_period_flatfoot.html

6)公益社団法人 日本整形外科学会 症状・病気をしらべる 「痛風」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/gout.html

7)一般社団法人 愛知県薬剤師会 17.痛風(高尿酸血症)
https://www.apha.jp/medicine_room/entry-3681.html

8)公益社団法人 日本整形外科学会 症状・病気をしらべる 「関節リウマチ」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/rheumatoid_arthritis.html

9)一般社団法人 日本スポーツ整形外科学会 スポーツ損傷シリーズ 3.スポーツ外傷の応急処置(RICE処置)
https://jsoa.or.jp/content/images/2023/05/s03.pdf

10)阿部整形外科クリニック 足、足首が痛い
https://abe-seikei-cli.com/menu/m6/

11)兵庫医科大学病院PRESENTS もっとよく知る!病気ガイド 整形外科 アキレス腱断裂
https://www.hosp.hyo-med.ac.jp/disease_guide/detail/90

12)順天堂大学医学部付属順天堂医院 足の疾患センター 対象疾患と専門治療
https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/center/footcare/disease.html

13)東京女子医科大学 整形外科 関節再生医療 | 人工関節
https://www.twmu.ac.jp/TWMU/Medicine/RinshoKouza/061/jointregeneration.html

14)大阪ひざ関節症クリニック 培養幹細胞治療
https://www.knee-osaka.com/treatment/culture-stemcell/

15)公益社団法人 日本整形外科学会 自家培養軟骨「ジャック」の使用要件等の基準について
https://www.joa.or.jp/media/institution/files/jack_reference.pdf

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