【徹底解説】居宅療養管理指導とは?在宅医療・往診・訪問診療との違い(2025年最新版)

居宅療養管理指導とは、通院困難な要介護状態の患者さまに対し、医療従事者が患者さまもしくはその家族から同意を得て訪問して管理や指導、助言を行うサービスです。

この記事では、居宅療養管理指導について詳しく解説し、在宅医療・往診・訪問診療との違いについてご紹介します。

居宅療養管理指導とは?

居宅療養管理指導とは、在宅で療養する要介護状態の方が適切な医療や介護を受けられるよう、医療専門職が自宅や施設を訪問し、療養や健康状態の指導・助言をする1)ものです。

具体的な内容としては、「居宅介護支援事業者(介護支援専門員)に対する居宅サービス計画(ケアプラン)作成などに必要な情報提供」「利用者や家族などに対する居宅サービスを利用するうえでの留意点、介護方法などについての指導や助言」があげられます2)

各職種が行う指導の概要1)を、表でご紹介します。

職種指導の概要
医師・歯科医師・診断にもとづく健康管理や指導
・使用している医療器具の管理
・生活習慣改善のためのアドバイス
薬剤師・服薬管理
・薬の飲み合わせや副作用の確認
・残薬の確認
※医師または歯科医師の指示にもとづく
管理栄養士・栄養管理
・嚥下機能に応じた食事の提案
・食事内容・調理方法のアドバイス
※医師の指示にもとづく
歯科衛生士・口腔内の管理
・義歯の清掃・調整
※訪問歯科診療を行った歯科医師の指導にもとづく

自宅や施設に医療従事者が訪問するため、通院が困難な要介護者でも適切な医療・介護のアドバイスを受けられます。要介護者自身が安心して自宅で生活を続けられるだけでなく、介護を担う家族の負担の軽減にもつながる制度と言えるでしょう。

なお、居宅療養管理指導は介護保険の対象となるサービスなので、医療行為は行われません。

居宅療養管理指導と介護予防居宅療養管理指導の違い

居宅療養管理指導と似た制度として、「介護予防居宅療養管理指導」があります。2つの制度の違いは、利用対象者にあります3)。受けられるサービスはほぼ変わらず、どちらも介護保険の対象となります。

制度対象者
居宅療養管理指導・要介護1以上の認定を受けた高齢者
・特定疾病により要介護認定を受けた40~64歳の人
介護予防居宅療養管理指導・要支援1または要支援2の認定を受けた高齢者

居宅療養管理指導と在宅医療・往診・訪問診療との違い

居宅療養管理指導と在宅医療は、どちらも在宅で受けられるサービスなので「似たようなもの」というイメージをお持ちの方もいるでしょう。ですが、実際には大きな違いがあります。居宅療養管理指導は介護保険を利用した在宅療養に関するサポートであり、医療行為は含まれません。一方、在宅医療では医療行為を行うため、医療保険が適用されます4)

※表は左右にスクロールして確認することができます。

 サービス概要適用される保険
居宅療養管理指導・医療従事者によるケアプラン作成のための情報提供・療養に関する指導・助言介護保険
在宅医療・医療従事者による診療・処置 医療保険

「在宅医療」は自宅で診療や治療、処置を行うことを指すことも、居宅療養管理指導との大きな違いと言えるでしょう。なお、在宅医療の中には「往診」「訪問診療」が含まれます5)

※表は左右にスクロールして確認することができます。

在宅医療往診・急変時などの臨時の診察や治療
訪問医療・定期的に訪問して行う診察や治療

それぞれの違いを理解し、状況に応じて適切なサービスを利用しましょう。

居宅療養管理指導の利用料

居宅療養管理指導の1回あたりの利用料金の目安2) 6)を表でご紹介します。今回は訪問限度回数内かつ介護保険1割負担の場合を想定しています。

※表は左右にスクロールして確認することができます。

居宅療養管理指導を行う職種月あたりの訪問限度回数単一建物内の利用者数自己負担額
医師(在宅時医学総合管理料・特定施設入居時医学総合管理料を算定している場合)4回1人¥515
2~9人¥487
10人以上¥446
歯科医師4回1人¥517
2~9人¥487
10人以上¥441
薬剤師(病院・診療所所属)2回1人¥566
2~9人¥417
10人以上¥380
薬剤師(薬局所属)4回1人¥518
2~9人¥379
10人以上¥342
管理栄養士(事業所所属)2回1人¥545
2~9人¥487
10人以上¥444
歯科衛生士等4回1人¥362
2~9人¥326
10人以上¥295

また、居宅療養管理指導に係る自己負担額は、医療費控除の対象7)となっています。

居宅療養管理指導の利用の流れ

居宅療養管理指導を受けるための手順8)を解説します。

  1. 利用希望者からケアマネジャーや主治医(医師・歯科医師)に相談
  2. ケアマネジャーと主治医の連携のもと、ケアプランの作成
  3. 居宅療養管理指導を行う医療従事者・事業者探し
  4. 利用日時の決定
  5. サービス提供開始

居宅療養管理指導を行う医療従事者や事業者については、ケアマネジャーが状況に応じて探してくれます。しかし、利用するかどうかを最終決定するのは患者さま自身です。サービス内容や料金だけでなく、緊急時の対応や実際の利用者からのクチコミなどもチェックしておくことをおすすめします。

正しく理解したうえで居宅療養管理指導を利用しよう

居宅療養管理指導は、在宅で療養する要介護者が安心して生活を続けるための支援サービスです。医師や歯科医師をはじめとする専門職が訪問し、適切な助言・指導を行うことで、要介護者の生活の質(QOL)向上が期待できます。

ただし、居宅療養管理指導では医療行為は行えません。必要に応じて、往診や訪問診療を含む在宅医療と組み合わせることが大切です。それぞれの違いを正しく理解し、適切なサービスを選択しましょう。

【参考】
1) 厚生労働省 令和5年7月24日 社会保障審議会 介護給付費分科会(第220回) 資料5 居宅療養管理指導
2) 公益社団法人 東京都医師会 かかりつけ医機能ハンドブック2009
3) 公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット 介護予防居宅療養管理指導とは
4) こはる在宅クリニック 訪問診療は介護保険ではなく医療保険が適用!往診や居宅療養管理指導のケースや保険別で解説
5) 品川区 品川区療養生活支援ガイドブック「よくわかる在宅医療&介護」 在宅医療について
6) 株式会社シルバー産業新聞社 ケアニュース by シルバー産業新聞 ※6/1施行【速報】居宅療養管理指導 2024年度介護報酬改定単価
7) 国税庁 (居宅療養管理指導の居宅サービス費)
8) 情報化支援サービス株式会社 楽にネット 居宅療養管理指導とは?算定要件を詳しく解説

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