医師インタビュー

院長自身も再生医療でひざの痛みを解消。最先端の医療が受けられる身近なクリニック

      

インタビューした医師・専門家

プロフィール
北青山D.CLINIC
院長 阿保 義久(あぼ よしひさ)
1993年に東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院第一外科、虎ノ門病院麻酔科、三楽病院外科、東京大学医学部腫瘍外科・血管外科を経て、2000年に北青山Dクリニック(現:北青山D.CLINIC)を開院。2004年に医療法人社団DAPを設立。2010年~2020年、東京大学医学部腫瘍外科・血管外科で非常勤講師も務める。国内で初めて下肢静脈瘤の日帰り根治手術を発案したパイオニアとして、治療実績は4万例を超える。現在は、下肢静脈瘤を中心とした「日帰り手術」、人間ドックや抗加齢医療などの「予防医療」、そして遺伝子治療や再生医療(幹細胞治療)に代表される「先端医療」の三本柱を軸とした高品質の医療の提供に心がけている。

再生医療は、これまで治療が難しかった疾患などに効果を発揮する治療法として期待が高まっている。

北青山D.CLINICは身近なクリニックでありながら、再生医療などの先端医療を受けることができる。その前提と考えられているのが予防医療で、具体的にはどのようなものか。また、北青山D.CLINICで提供される再生医療はどのようなものか。ご自身も再生医療を経験し、生活が改善された阿保義久院長に話を伺った。

先生からのメッセージ

私自身も、学生時代から抱えていたひざの痛みを再生医療で解消しました。

平均寿命は高いが、健康寿命には改善の余地がある

――北青山D.CLINICの特徴はどんな点でしょうか?

日常生活の中で気軽に相談できるクリニックでありながら、先端医療が受けられる環境と体制があります。

東京大学と慶應大学で医学を学び、その附属病院、関連病院で診療と研究に従事していた当時平均年齢35歳の医師たちが「高度な医療を身近なクリニックで提供する」というコンセプトに共感して集結、北青山Dクリニック(現:北青山D.CLINIC)が誕生しました。

以降、「日帰り手術」「予防医療」「先端医療」を三本柱に、さまざまな領域に対応する総合クリニックとして展開を続け、現在は遺伝子治療・再生医療にも注力しています。

医療を実践する上で私たちが重視しているキーワードは「尊厳」と「高品質」です。患者さまのニーズに応え、先端医療を提供しながらも一人ひとりに寄り添った治療提供を常に心掛けています。

――日本の医療の課題を、どのようにご覧になっていますか?

日本は国際的に見ても平均寿命が高いですが、健康寿命は必ずしも高いとは言えません。男女ともに10年程度の乖離がある点を課題に感じています。認知機能が低下し、介護を要する状況が長く続いている方も少なくありません。また、ずっとベッド上で延命治療を受けている方には、尊厳がある生活をしているのかいないのか分からないようなケースもあります。

そういった意味では、健康的に長生きをして寿命を全うする、そんなライフスタイルが非常に大切ではないでしょうか。年齢を重ねても、社会活動を維持し、ご自身の自己実現を達成しながら生活を送っていただけるような健康状態を保つことに貢献したいと思っています。当院が積極的にご案内している再生医療は、そのような健康管理マネジメントに非常に役立つと考えています。

3つの段階すべての予防医療を提供する

――こちらでは、予防医療も重視されています。予防医療について教えてください。

予防医療には3つの段階があると言われています。

一次予防は「病気を作らない」です。運動、食事、睡眠などを通して、癌を作らないようにする、動脈硬化を生まないようにするなど発症を抑えることを指します。

二次予防は「病気を早期に発見する」です。手遅れにならないようなレベルで病気を発見することで、早期に治療ができるようにします。

三次予防は「病気の進行を遅らせる」です。残念ながら早期発見はできず、疾患としてある程度確立してしまった場合でも、それを悪化させない、または進行を遅らせます。

一次予防で対処できれば最も良いのですが、どれほど予防していたとしても、二次予防、三次予防をせざるを得ない状況になってしまうこともあります。どの段階でも患者さまの尊厳を保ちながら、予防の概念を常に医療の中核に添えて取り組むことが大切だと考えており、当院では3つの段階すべての予防医療を提供できる体制を整えています。

――その中で、特にひざの疾患に関しての予防医療はどのように考えていらっしゃいますか?

ひざ関節に関しても、一次予防においてはやはり運動、食事、睡眠が重要です。ひざの近くにある大腿四頭筋、ハムストリングス、内転筋、外転筋などの筋力を維持することも欠かせません。また、ひざ関節を守るにはひざに近い筋肉だけではなく、大腿の筋肉群をサポートする腸腰筋、腹筋、背筋なども大切になるため、それらをバランス良くトレーニングするのがいいでしょう。また、筋力をつけるためには休養も必要です。

二次予防、三次予防の段階ではさまざまな医療がありますが、当院では再生医療も提案しています。

これまで改善が困難だった痛みに対応する再生医療

――再生医療とは、どんなものでしょうか?

再生医療として当院が行っているのは、ご自身の脂肪から抽出した再生能力のある幹細胞をCPC(細胞培養加工施設)で培養し、体内に戻すものです。壊れている組織のほか、機能が損なわれていたり、機能不全になっていたりする臓器を再生して人体の機能回復を目指します。これまで改善が困難だった難治性疾患に対する治療法としても大変期待されており、臨床研究が盛んに行われています。

実は、私自身も当院で再生医療を用いたひざの治療を行ったことがあります。大学時代にアメリカンフットボールでひざにタックルを受け骨折したことがあります。手術を受けた後もひざに痛みがあり、全力で走ることができず、運動能力はかなり落ちてしまいました。将来、変形性ひざ関節症の発症は必発と言われていたほどでした。

当院で再生医療の提供を始めたタイミングで、私自身にその治療を施してみました。「強度の高いスポーツはもうできない」と諦めていましたが、治療後は100パーセント全快とは言えないにしても、ほとんど問題なく普通に走れるようになり、バスケットボールの試合に参加することもできるようになりました。年齢を重ねるにつれて、徐々に増していたひざへの不安が一掃されたのです。

――再生医療の適用対象はどんな疾患でしょうか?

当院では、加齢に伴う身体的かつ生理的機能の低下、スポーツ外傷等による運動器障害、動脈硬化症(心筋梗塞、脳卒中)、慢性疼痛、認知機能障害、神経変性疾患、慢性呼吸障害、心不全、慢性腎臓病、肝硬変、肝線維症などの肝機能障害、炎症性腸疾患、動脈瘤、糖尿病、不妊症、脱毛症にお悩みの方に再生医療による治療をすすめています。

――安全性はどのように考えられていますか?

ご自身の体内にもともと存在する細胞を活用するため、激しい副作用はなく、安全性が担保される治療です。ただし、大量の細胞を急速に投与すると血栓症を誘発するという報告があり、そのリスクは最小限に抑えるよう適切な投与法を採択しています。

また、私たちも驚くような劇的な改善例がある一方で、期待通りの成果が必ずしも生まれなかったり、改善に時間がかかったりするケースがあるなどの欠点もあります。

――最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

ひざ関節を守るためには、まず予防医療を考えることが大原則です。しかし、予防にしっかりと配慮をしていても、不慮の怪我や避けられない老化によりひざの関節症が発生して慢性疼痛や動作制限など日常生活を損ねる事態を招くことがあります。

既存の治療で修復できないようなひざ関節の痛みや不具合に悩まれている方には、ご自身の体の中にある幹細胞を用いた再生治療という方法をひとつの治療選択肢としてご認識いただければと思います。

予防医療や再生医療に限らず、医療に関するアドバイスを希望される方は、どうぞお気軽にご相談にいらしてください。

           

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