医師・専門家インタビュー

整形外科医院を、地域医療の真ん中に。注射療法で身体の痛みに寄り添う

笹尾 三郎

これまで限られた医療機関でしか受けられなかったエコー(超音波診断装置)を用いたハイドロリリースなどの注射療法や、患者さまの血液・細胞を活用した再生医療(バイオセラピー)、スポーツ現場でも注目される体外衝撃波治療といった治療を、地域の整形外科医院でも受けられるようになりつつある。これらをすべて行っているのが、神奈川県川崎市にあるセントラル整形外科の笹尾三郎院長。本インタビューでは、笹尾院長にこれらの治療で見られる効果のほか、地域医療への貢献意欲について伺った。

開業後も学び続けているからこそ、あらゆる症状で悩む患者さまの診療が可能

――まずは整形外科医になったきっかけを教えてください。

開業医の父からの影響で、幼少期から医師という職業に興味を持っていました。整形外科医を選んだのは、ケガを治したり、痛みを和らげたりし、患者さまが再び運動や旅行を楽しめるよう支えることで、笑顔を取り戻してもらえる点に魅力を感じたからです。

――笹尾院長の専門分野は何でしょうか?

今は、特定の分野に留まりません。首から足までオールラウンドに診療できるのが私の強みです。大学病院の勤務医時代は手と上肢を専門にしていましたが、開業後はそれ以外の分野も学びたいという意欲が強まり、さまざまな診療科の学会が主催する研究会や勉強会に積極的に参加し、知識や技術を高めています。

――医院を現在地に移転開業した際、名称を変更しています。その理由を教えてください。

医院がある地域(川崎市麻生区や新百合ヶ丘)と、患者さまの笑顔、そして整形外科の開業医。私たちがこれら3つの真ん中にいたいという想いを込めて、「セントラル整形外科」と命名しました。

整形外科開業医の真ん中とは、日々進化していく新しい医療を吟味し取り入れ、地域の皆さまのためにより良い医療を提供することです。それを継続することで、地域にある中核病院の整形外科医に加えて、他の診療科目の医師からも信頼を得て、地域医療に貢献できる存在になれると考えています。

エコーの進化で、ダイレクトに患部に薬剤を注入できるように

――貴院では治療のひとつとして、エコー(超音波診断装置)を用いた注射療法に注力されています。その注射療法の種類を教えていただけますでしょうか?

私たちは、一般的な整形外科外来で行う注射はもちろん、神経根ブロック注射、ハイドロリリース注射、サイレントマニュピレーション、再生医療(PFC-FD™)などを行っています。

中でも、神経根ブロック注射は、首や腰の神経根を原因とした痛みを遮断するのに有効です。ハイドロリリース注射は、首や肩、腰の痛みやこりを改善するための施術として効果を発揮します。サイレントマニュピレーションは、重度の四十肩、五十肩と言われる凍結肩に対して、可動域を広げるための治療として活用しています。

このように、患者さまの症状に合わせて適切な方法を選択、実施しているのです。

――ハイドロリリースなどの注射療法を選んだ理由や経緯を教えてください。

医療関連の勉強会に参加する中で、ハイドロリリースなどの注射療法の効果を知ったことから関心を持つようになりました。以前は医師の経験や勘に頼りがちな治療法で、薬剤も正確に患部に届いているか確かめられる術もなかったのが実情でした。

そんな状況から一転して、近年は技術の進歩によってエコー(超音波診断装置)の性能が画期的に進化しています。エコーを活用することで、モニター越しに患部をしっかりと捉えながら注射を打てるようになったため、私たちもハイドロリリースなどの注射療法を行っております。

――エコーを用いた注射は、患者さまにどのようなメリットがありますか?

前述の通り、エコーのモニターを通じて、ダイレクトに患部に薬剤を注入できるため、治療効果を得られやすいことです。また、他の組織を傷つけることがほとんどありませんので、合併症のリスクも減らせます。

▼ 注射療法については、以下の記事で解説しています。
【医師監修】膝の痛みに対する注射治療とは?再生医療についても紹介
【医師監修】肩の痛みに対する注射治療の種類は?対象となる肩関節疾患も解説

注射医療のほかにも、高い治療効果を得られる再生医療(バイオセラピー)を提供

――貴院では、再生医療も行っています。この治療を始めたきっかけは何でしょうか?

再生医療(バイオセラピー)を始めたきっかけのひとつが、その治療効果の高さです。例えば、世界最高峰のメジャーリーグで活躍する投手が肘を傷めた際、手術療法ではなく再生医療を選び、投手として復帰した事例があります。

もうひとつは、自身の血液や細胞を用いるため、拒絶反応やアレルギー反応が少ないことです。要するにデメリットがほとんどなく、メリットは個人差はありますが患者さま次第です。これは、再生医療(バイオセラピー)を選択する際の大きな安心材料になるはずです。これらの特徴から、「治療の選択肢のひとつとして患者さまに提案できる」と考え、再生医療(バイオセラピー)の提供に至りました。

――どのような患者さまに再生医療(バイオセラピー)を提案していますか?

私たちは、主に軽度の変形性膝関節症を患っている方に対して、ヒアルロン酸注射で効果が見られなかった際に、再生医療を提案するようにしています。その他、効果が期待できるさまざまな疾患に対しても、しっかりと治療内容やメリット、当院での治療費について説明の上で実施するようにしています。

――再生医療(バイオセラピー)を行った中で、とくに印象に残っている患者さまはいますか?

はい、とくに印象的だったのは、近隣にお住まいの女性です。その患者さまの診断結果は、軽度の変形性膝関節症と内側半月板損傷で、当初ヒアルロン酸注射を行っていました。しかし、その治療効果が見られずステロイド注射を行うと、一時的に症状が改善するも効果は限定的で、治療日から2ヶ月後に痛みが再発するという状態が3回続きました。そこで、患者さまに導入したばかりの再生医療(バイオセラピー)を提案したところ、その治療を希望されたのです。

当初は導入したばかりで治療効果について半信半疑でしたが、再生医療(バイオセラピー)を一回行なってから5年が経過した今も、患者さまからいまだに膝の痛みに関する訴えは一切なく、非常に感謝されております。

――貴院で行っている体外衝撃波治療についても詳しくお聞かせください。

従来のリハビリ機器は、症状の原因を取り除いて改善を目指すというよりも、リラクゼーション的な側面が強いものばかりと感じていました。しかし、体外衝撃波治療器は、患部に直接物理的な衝撃を与えることで組織の再生を促し、痛みの改善を目指せる治療法になります。

体外衝撃波治療は、身体の組織を傷つけないため、アスリートへの治療にも適しています。実際、近年のオリンピックで日本代表選手たちへの治療目的で同じ集束型体外衝撃波治療器を持ち込まれていました。

当院では、集束型と拡散型の体外衝撃波機器を備えています。集束型は、足底腱膜炎やアキレス腱付着部炎、テニス肘など、身体の深部にある痛みを改善するために使用しています。一方、拡散型は身体の表層にある痛みをはじめ、こりや張りなどを緩和するために用いています。この2つの機器があることで、患者さまの症状に合わせてベストな体外衝撃波治療を勧められるのです。

先進的な医療の提供は、「早く症状を解消したい」という患者さまの希望を叶えるため

――貴院では、積極的に先進的な医療を行っているイメージがあります。その原動力は何でしょうか?

私たちは地域の皆さまのために、現状に満足せず、新しいだけでなく、より良い治療を実施できるようにしたいという強い想いがあります。また、提供する医療は、患者さまはもちろん、私が整形外科開業医として納得し満足の得られるものでなければなりません。

近隣に患者さまが希望されている新たな治療方法や医療機器がなく、遠方の医療機関を紹介することは私自身悔しく、地域の皆さまの要望に何とか応えたい。その思いから常に情報を収集し、その効果やメリットなどを見極めながら、当院でも先進的な医療を積極的に導入するよう心掛けています。

――整形外科疾患でお悩みの方に向けて、メッセージをお願いします。

これまでの治療方法は保存療法と手術療法の二択でしたが、医療の進歩によって再生医療や体外衝撃波治療などの選択肢も加わっています。当院ではこのような先進的な医療を提供するために、現状に満足することなく知識や技術、設備をアップデートしております。再生医療(バイオセラピー)は膝関節だけでなく、効果が期待できるさまざまな部位や疾患に対して行っておりますので、保存療法を続けながら痛みや違和感が変わらないことでお悩みの方はご相談ください。

インタビューした医師・専門家

笹尾 三郎 先生

1998年、聖マリアンナ医科大学医学部を卒業。同大の整形外科医局に入局後、2009年に百合ヶ丘整形外科クリニックを開院。2018年、クリニックの場所を移転すると同時に、「セントラル整形外科」と名称を変更して開院。同院の理念は、「笑顔に導く医療」。日本整形外科学会から整形外科専門医をはじめ、スポーツ医、リウマチ医、運動器リハビリテーション医として認定を受けている。

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