医師・専門家インタビュー

理学療法士の知見と経験を活かし、ひざの痛みを改善するBODYMAKE GYM START

      

インタビューした医師・専門家

プロフィール
BODYMAKE GYM STARTパーソナルトレーナー
西田孝徳(にしだ たかのり)(理学療法士)
1991年岐阜県生まれ。理学療法士として、クリニック(整形外科)勤務、高齢者のデイケアセンター勤務を経て、2020年にBODYMAKE GYM STARTを開業。理学療法士のほか、臨床栄養指導士、睡眠ヘルスアドバイザー、スキンストレッチスペシャリストなどの資格を持つ。

BODYMAKE GYM STARTで代表を務める西田孝徳氏は、理学療法士の経験と専門性を活かし、患者さまの痛みの改善とQOL向上に取り組み、クチコミで極めて高い評価を得ている。

先生からのメッセージ

「ここに行ったら治してくれるではなくて、ご自身とトレーナーが「一緒に治していく」と意識することが、効果的なリハビリにつながります。

整形外科とデイケアで、関節の痛みを抱える人の多さを知る

――――BODYMAKE GYM STARTの特徴を教えてください。

「理学療法士の私が代表を務めるパーソナルジムです。患者さま一人ひとりに対し、丁寧にヒアリングを行いながら整体の施術やトレーニングを提供しています。

私は大学卒業後、理学療法士として病院の整形外科で5年、高齢者のデイケアセンターで1年半働いていました。病院では、施術に関し不安を覚えている方が多いと感じていたので、最初のセッション時に信頼関係を築くことを意識してきました。デイケアでは、日常生活レベルが困難な方も多く、ご家族や地域と連携していく必要もありました。個人の身体にアプローチするだけでなく、心のケアや地域連携も重要なのです。

そうした経験をしたあとで立ち上げたBODYMAKE GYM STARTでは、患者さまの生活全体を見ながら、姿勢・動作の改善や体力づくりに力を入れています。整体だけ提供してそのときには痛みが改善されても、動作や生活が変わっていなければまた症状が戻ってきてしまいます。そのため、パーソナルジムの形式にして患者さまご自身とともに症状を治していくことを目指しています」

――関節の痛みについて、これまでのご経験でどのように感じていますか?

「整形外科とデイケアで働いていて感じたのは、関節の痛みを抱える方が本当に多いということです。

ひざ関節の痛みがあると、階段の昇り降りが痛い、正座ができない、床から立ち上がることができない、など日常生活に支障をきたします。また、いわゆる四十肩、五十肩で、肩関節に痛みを抱えている方もとても多いです。車のシートベルトを外すときに激痛が走ったり、女性は服の着衣動作に支障が出たりといった生活の困難さが出てきます。

関節の痛みが原因で、QOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)がすごく下がってしまうことを実感してきました」

ひざの痛みには、性格も影響

――ひざの痛みに対し、どのような点に注目していますか?

「私は主に3点に注目します。1点目は、膝蓋骨(しつがいこつ)がしっかりと動くかどうかです。膝蓋骨とは、ひざのお皿を指します。ひざのお皿は、滑車のような役割を担っているのです。ひざのお皿は上下に動いたり、ひねったり、回転したりするのですが、その動きができないと、ひざは曲がらなくなります。ひざのお皿が動いていなければ、どの方向に引っ張られているのかを見ていきます。

2点目は、大腿四頭筋(太ももの筋肉)です。大腿四頭筋を自分で緩められることは重要です。ひざに痛みがあると、大腿四頭筋が防御的に収縮してしまって、ぎゅっと力が抜けない状態になっている方がいます。これは個々の性格の影響も大きいと思われます。緩めることができないと、ひざのお皿はさらに動かなくなってしまいます。

3点目は、ひざが曲がっている角度です。歩行中にかかとが接地するときには、通常はひざが0度まで伸びています。しかし、ひざが曲がっている状態だと、歩行しているだけでぐらついてしまい、余計にひざを痛めてしまいます」

――ひざの痛みに性格も影響しているのは興味深いですね。

「『ひざをここまで曲げてください』と言うと怖くて曲げられない方でも、『ここに落ちているものを取ってください』と言ったら膝が曲がることもあります。つまり、恐怖感や不安感があり、意識が動作を抑えてしまっているのです。

例えば、バランス訓練をするときには、『転ばないようにしてください』ではなく『転んでみてください』と伝えることもあります。というのも、安定した場所で片足立ちをしているだけでは、ご自身の脳の許容範囲の中でしか動けていないケースがあるからです。安全が確保された状態で転んでみることで、許容範囲を超え、初めて『私のキャパシティはもう少し広く取れていたんだ』と脳にインプットされます。」

――パーソナルジムでは、どのようにアプローチしていますか?

「私たちのジムに通う方の平均年齢は53歳です。これは、パーソナルジムでは高いほうだと言えます。それもあって、ダンベルを持ってトレーニングをするようなことはあまりありません。バランスを取りながら、足の筋トレを行うなど健康に特化したトレーニングが中心です。

いわゆる筋トレの多くは、単一方向の動きになっていきます。しかし日常生活では、いろんな方向へ、複合的に動く必要があります。私たちのジムでは、二重課題、さらに三重課題に取り組んでいただくことによって、生活に必要な動作をしていきます。そうした動作が無意識にできるようになることも大切です。

また、食事の改善、遺伝子検査、インソールの改善など、さまざまなアプローチが可能です。ジムでの時間は限られているので、自宅でできるエクササイズも伝えています」

ひざの痛みは軽減させられる

――ひざに痛みを抱える方が自宅でできるセルフケアには、どのようなものがありますか?

「ひざのお皿を毎日触ってほしいですね。ひざのお皿は、ひざを曲げている状態だと動かなくなり、どんどん固定された状態に入ってしまいます。ひざを伸ばした状態で、ひざのお皿を上下左右に動かしてあげてください。

また、変形性膝関節症予防のためのエクササイズのひとつ、パテラセッティングもおすすめしています。仰向けになって、ひざの下に丸めたタオルを挟み、ひざを下へと押しつけるエクササイズです。太ももの筋肉を自分で緩め、鍛えることもできます。

ひざに痛みがある方は、体重をかけた筋トレから始めるのはあまりおすすめしません。体の準備が整っていなかったり、良いフォームになっていなかったりして、悪化してしまうリスクもあるからです。準備がちゃんとできて初めて、体重をかけてもコントロールができるようになってきます。パテラセッティングからスタートして、少しずつ運動強度を上げ、スクワットなどを取り入れるのが良いと思います」

――ひざの痛みに対処するうえで、大切にされていることを教えてください。

「患者さまは全員パートナーだと私は思っています。私たちは患者さまのひざを治すために最善を尽くしますが、『ここに行ったら治してくれる』ではなくて、ご自身とトレーナーが『一緒に治していく』と患者さまご自身が意識することが、効果的なリハビリにつながります。ご自身でも取り組んで習慣化させていかなければ、また痛みが出てきてしまうリスクが高いのです。

私たちは、患者さまの今後の長い人生の一部として、今の治療に関わっています。私たちが関わらなくなったあとでも健康を維持していただきたいので、心の悩みを聞くことも含め、症状を一緒に治していきたいと考えています」

――ひざの痛みを抱える方に向けて、メッセージをお願いします。

「私たちは、高齢者向け運動レッスンを行っています。私の祖母が87歳だったときに、少しでも健康に長生きしてほしいと思って始めました。祖母も最初は杖をついて歩いている状態でしたが、週2回レッスンを続けていくうちに、92歳になった今では縄跳びをしています。自転車にもまた乗れるようになりました。

このように、しっかり向き合えば、ひざなどの痛みがあったとしても軽減させることは可能です。医師や理学療法士を頼っていただきながらも、ご自分でも努力して、関節まわりを守ってあげてほしいと思います」

           

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