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再生医療等を“当たり前の選択肢”に —— セルソースが目指す、ひざ治療の新しい社会実装【KneeX(ニークロス)】

再生医療等を“当たり前の選択肢”に —— セルソースが目指す、ひざ治療の新しい社会実装【KneeX(ニークロス)】

人生100年時代を迎え、整形外科医療に求められる役割は大きく変化しています。とりわけ、ひざの痛みや運動器疾患は患者のQOLや健康寿命に直結する重要なテーマです。近年注目を集める再生医療等は、その新たな選択肢として期待される一方、導入や運用に不安を感じる医療機関も少なくありません。本記事では、再生医療等の社会実装を支えるセルソース株式会社へのインタビューを通じて、整形外科領域における再生医療等の現状と可能性、そしてクリニック経営における実践的なヒントを探ります。

再生医療等の社会実装を支えるセルソースの事業とは

――セルソース株式会社の事業概要を教えてください

高野さん:セルソースは2015年に設立された再生医療関連事業のパイオニア企業です。2014年に施行された「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」を大きな転機と捉え、医療機関の皆さまとともに再生医療等の社会実装に取り組んできました。

当社の最大の特徴は、医療機関さまにとっての「セントラルキッチン」のような役割を担っている点です。再生医療等では、患者さまから採取した血液や脂肪組織を加工する工程が必要になりますが、これを各クリニックで行うには設備投資や専門人材の確保など大きな負担が伴います。そこで、セルソースの加工施設に集約することで、医療機関さまは設備投資を行うことなく、安全性と品質を担保した再生医療等を提供できる仕組みを構築しています。

具体的には、変形性膝関節症などの治療に広く用いられるPFC-FD™加工受託や、脂肪由来幹細胞(ASC)の加工受託が中心となります 。また、単なる加工受託にとどまらず、再生医療等の提供に必要な院内フロー構築、スタッフ教育、運用ノウハウの提供までを一貫して支援しています。現在、提携医療機関数は2,100院以上、血液由来加工は累計11万件以上、脂肪由来幹細胞加工も累計1万件以上(2025年10月時点)に達しており、再生医療等の社会実装は着実に広がっていると感じています。

※「PFC-FD™」はセルソース株式会社の商標です。

――「セントラルキッチン」型支援のメリットは何ですか?

高野さん:設備投資不要という点はもちろん、ナレッジを医療機関ごとに蓄積するのではなく、全体で共有・高度化できる点に価値があります。結果として、再生医療等の質を社会全体で底上げできると考えています。

――近年、整形外科領域では再生医療等の導入が注目されていますが、実際にはどの程度広まっているのでしょうか?

高野さん:医療機関側から見ると再生医療等への関心は確実に高まっていますが、患者さま側の認知はまだ十分とは言えません。ひざの治療において「再生医療等」という選択肢があること自体を知らない方が多いのが現状です。

実際に、医療機関を受診した患者さまに対して提示された治療法を調査すると、再生医療等が提示された割合は約2.7%にとどまっています。さらに、ひざの痛みを感じていても、約75%の方が医療機関を受診していないというデータもあります。

また、2023年に実施した調査では、ひざの再生医療関連サービスの知名度は15.4%という結果でした。治療の選択肢が増えていること自体が、まだ世の中に十分伝わっていないように思います。だからこそ、まずは「新しい治療法がある」という情報を丁寧に伝え、医療機関への受診行動につなげていくことが非常に重要だと考えています。

※出典 人生100年時代のひざの健康と医療に関する全国意識調査|セルソース株式会社

【独自調査】50歳以上で「膝の痛み」を感じたことがある人は40.4%。通院している人の6割超は「今の治療に満足せず」|セルソース株式会社

――関節の痛みに悩む人がすぐに病院を受診しない理由は何でしょうか?

高野さん:ひざに限らず腰、肩といった部位の不調は、年齢を重ねるにつれて誰にでも起こり得るものです。そのため、「年のせいだから仕方がない」と自己判断してしまい、医療機関を受診するラインが非常に曖昧になっていると感じています。

実際、病院に行っても「年齢によるものですね」と言われ、湿布や痛み止めで様子を見る、という経験をされた方も多いのではないでしょうか。こうした体験が積み重なり、「どうせ治らない」「行っても同じだ」という思い込みにつながっている側面もあります。

しかし、最近では治療法の選択肢が確実に広がっています。少しでも痛みや違和感を覚えた段階で医療機関を受診することで、早期の対処が可能になり、症状の進行を遅らせることも期待できます。まずはその“気づき”を社会全体で共有していくことが重要だと考えています。

高齢化社会が抱えるひざの健康問題が深刻に

――人生100年時代を迎え、健康寿命への関心が高まっていますね。

高野さん:平均寿命が延びたことで、私たちが自分の体と向き合う期間は確実に長くなっています。かつて「人生50年」と言われていた時代と比べると、倍の期間、健康課題と付き合っていく必要があります。

現在、女性では2人に1人が90歳以上まで生きるとも言われています。健康寿命と平均寿命の差、いわゆる“不健康期間”は約10年。この期間をどう過ごすかは、人生の満足度に直結します。

その中で特に重要なのが運動器の健康です。健康寿命を損なう最大の要因のひとつが、運動器の障害だと言われています。ひざをはじめとした関節の健康にどう向き合うかは、今後さらに社会的関心が高まっていくテーマだと感じています。

変形性膝関節症の潜在患者数は、国内で約2,500万人とも言われています。ひざは歩行や自立生活に直結する部位であり、日常生活への影響が非常に大きい疾患です。

患者数自体は大きく増えているわけではありませんが、人生100年時代を迎えたことで、1人ひとりにとっての「深刻度」が確実に増しています。趣味や仕事の継続、社会参加といった観点からも、ひざの健康はこれまで以上に重要なテーマになっていると言えるでしょう。

※セルソース株式会社提供資料より抜粋

――ひざの痛みを深刻に受け止めない人も多いそうですが、なぜでしょうか?

高野さん:当社が行った調査では、「膝の痛み予備軍」とされる方のうち、医療機関を受診しているのは約25%にとどまっています。受診しない理由として多かったのは、「この程度で受診するのは大げさ」「どうせ治らない」「年のせいだから仕方ない」といった声でした。

また、通院している方の中でも、現在の治療に満足していない方が6割いるという結果が出ています。再生医療など新しい治療選択肢が提示されている割合も約3%と非常に低く、情報が十分に届いていない現状があります。

こうした背景から、「我慢する」「見て見ぬふりをする」という選択が取られてしまっているのだと思います。

※出典 人生100年時代のひざの健康と医療に関する全国意識調査|セルソース株式会社

【独自調査】50歳以上で「膝の痛み」を感じたことがある人は40.4%。通院している人の6割超は「今の治療に満足せず」|セルソース株式会社

再生医療等という選択肢を認知し、選べる社会へ

――ひざの健康課題の変化や実態を前に、セルソースではどのような取り組みを行っていますか?

長谷川さん:ひざ治療が進化していること、選択肢が存在することをもっと社会に伝えていく必要がありますが、医療機関の「中」と「外」それぞれに課題があると思っています。まず、医療機関の「中」の課題は何かというと、医師が患者さまに“説明しやすい環境”が十分に整っていない点です。そして、医療機関の「外」の課題は、ひざが痛いのにもかかわらず、その解決の可能性があることを知らないまま我慢し続けてしまう人がたくさんいることです。

この2つの課題に対して、当社では次のような取り組みを行っています。一つは、医師やスタッフの説明負担を軽減し、再生医療等を提示しやすい環境づくりの支援です。再生医療等は患者さまに正しく理解していただくための説明が難しく、自由診療であることから運用にもノウハウが求められます。そのため、説明表現の整理、患者説明用資材の提供、スタッフ向けオンライン講座などを通じて、診療フローに組み込みやすい仕組みを整えています。

――なるほど。では、医療機関の「外」に向けた支援とは?

長谷川さん:再生医療等やひざの健康に関する認知を広げるため、「ひざの悩みトリサル委員会」という共同啓発プロジェクトを2025年からスタートしました。これは、医師とともにWeb、動画、イベントなどを通じて発信していく活動です。ひざの痛みの原因や放置リスク、治療選択肢を専門的すぎない言葉で伝えることを重視し、ひざとの“新しい付き合い方”を社会に届けていこうと取り組んでいます。

――再生医療等の導入がうまくいかないケースにはどんなものがありますか?

高野さん:大きく分けて2つあります。1つ目はエビデンスや信頼性への不安、2つ目は価格面のハードルです。

信頼性については、大学病院との連携や論文発表を通じてエビデンスを蓄積し続けています。これまで深刻な有害事象は0件であり、徐々に理解が広がってきていると感じています。

価格面について現時点では完全に解決できているとは言えませんが、症例や説明方法のナレッジを共有することで、医師が安心して導入できる環境づくりを進めています。

目指すのは“選べる医療”が当たり前の社会

――この取り組みを通じて、どんな社会をつくっていきたいとお考えですか?

高野さん:必ずしも再生医療等を誰もが受けるべきだとは考えていません。ただ、どこに住んでいても、再生医療等という選択肢を「知った上で選べる」社会であるべきだと思っています。

人生100年時代を前向きに楽しめるよう、不安なく医療と向き合える社会づくりを、医療機関の皆さまと一緒に進めていきたいと考えています。

――最後に、開業医・クリニック経営者へのメッセージをお願いします。

長谷川さん:再生医療等を無理なく診療に組み込めるよう、情報提供や運用支援を今後も続けていきます。すでに導入している医療機関さまだけでなく、これから検討されるクリニック経営者さまにも寄り添いながら支援しますので、ぜひ一緒に取り組んでいければと思います。

※この記事の監修専門家
セルソース株式会社 マーケティング部(部長) 高野 洋輔

インタビューした専門家

高野 洋輔様先生
高野 洋輔様先生

セルソース株式会社

マーケティング部 部長 

高野 洋輔様

総合広告代理店にて、コミュニケーションディレクターとして戦略〜企画/クリエイティブまで幅広い経験を得て2013年に独立。その後はWell-BeingやAIといった社会啓発領域を中心に活動し、2023年セルソースに入社し現職。

マーケティング部
長谷川 えり佳様
医薬品メーカーにてMRやCRAとして経験を積んだのち、2020年にセルソースへ入社。マーケターとして、全国の整形外科医療機関への再生医療等加工受託サービス提供に伴う導入支援やナレッジ提供支援を行う。

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