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どこよりも詳しい!整形外科医院のための集患・増患・集客ガイド

内閣府や総務省が公開する資料によると、日本では65歳以上の人口が3,624万人に達し、総人口の29.3%を占めています。高齢化の進行によって、関節症や骨粗しょう症などに悩む方が増加しており、整形外科医院を受診される患者さまも増えている状況です。

こんな状況の中、「新たな患者さまがなかなか増えない」「集患の方法がわからない」「集患施策を進めているものの、その効果を得られていない」という課題を抱えている整形外科医院の院長も少なくありません。

本記事では、整形外科医院を経営している院長の皆さまに向けて、患者数の伸び悩みを解消するための集客方法をご紹介します。

【参照データ】
内閣府|令和7年版高齢社会白書(概要版)
総務省統計局|統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで‐

この記事で分かること

集患について

整形外科医院を経営する中で、集患の重要性を痛感している院長も多いはずです。集患とは文字通り、患者さまを自院に集めること。具体的には、各種広告の出稿をはじめ、ホームページやSNSアカウントの開設・運用などの施策が挙げられます。整形外科医院のホームページを運用する場合、SEOやMEOの対策はもちろん、近年重要になっているAIO/GEO/LLMOといった生成AIへの対策も必須です。整形外科医院が密集しているエリアに開業している場合、安定した経営や売上の向上のためにも精度の高い集患施策は欠かせないでしょう。

集患と増患の違い

集患とよく併記される言葉として「増患」があります。ふたつの言葉の違いは、以下の通りです。正しく理解することで、より効果的な経営戦略を立てられるようになります。

集患 増患
目的経営の安定医院の発展
対象者新規の患者さま再診の患者さま
施策例・リテスティング広告、動画広告、SNS広告
・SEO、MEO、AIO/GEO/LLMO対策
・SNSアカウントの開設、運用
・看板の設置
・医療サービスの充実
・診療の質の向上
・接遇の改善・良質な口コミの増加
・ほかの医療機関との連携強化

自院に合った集患施策によって新規の患者さまを獲得した後、増患施策によって既存の患者さまの再診や来院回数を増やしていきます。こうしたプロセスを踏むことで、安定した経営基盤を築けるだけでなく、さらなる売上・利益の拡大へとつなげることができるでしょう。

整形外科医院の経営における集患の重要性

帝国データバンクの資料によると、2024年の医療機関(病院、診療所、歯科医院)の休廃業・解散は722件、倒産件数が64件と、ともに過去最多でした。

この主因の64.1%を占めるのが収入の減少です。コロナ禍を契機に、あらゆる感染を予防するために受診を控えたり、かかりつけ医を見直したりする患者さまが増加。これに伴い、受診者数が減少し、それと連動して収入が落ち込む医療機関が増えたと考えられます。このような事態にならないためにも、整形外科医院を経営していくためには、集患施策が重要になります。

集患施策は、まず売上や利益の拡大など短期的な効果にフォーカスすることになりますが、中長期的な発展につながるものあります。

・医師の採用による診療体制の強化や専門外来の開設
・再生医療や手術療法など新たな治療方法の導入
・分院の開設による事業の拡張

そのため、集患施策は単なる集客手段ではなく、将来を見据えた中期の戦略として計画的に立案・実践していくことが重要です。

【参照データ】
帝国データバンク|医療機関の倒産・休廃業解散動向調査(2024年)

集患が進まない整形外科医院の課題

整形外科医院で集患が思うように進まないのには、大きく3つの課題が考えられます。自院の現状と照合しながら、課題を捉えるためのヒントを以下にご提示します。

(1)整形外科医院が認知されていない

集患が進まない整形外科医院は、そもそも地域の方々にその存在を知られていない可能性があります。

・メディアや地域イベントなどへの露出機会が少ない
・インターネット検索で上位に表示されていない
・医院のブランド力が弱く、印象に残りにくい

これらが重なると、患者さまが来院を検討するためのきっかけをつくれません。そのため、インターネット広告(リスティング広告や動画広告、ポータルサイト)の出稿をはじめ、SEOやMEO対策、オフライン施策(書籍の出版、看板の設置、折り込みチラシの配布、セミナーや勉強会の開催)の実施など、多面的な集患施策の実行が必要です。

これらの施策の中で、理学療法士がサポートするリハビリ治療や、日本整形外科学会認定スポーツ医からのスポーツ障害に対する診療、地域の医療機関や介護施設との連携などの自院の強みを打ち出しながら、認知度を高めていくと良いでしょう。

(2)コンセプトや強みが十分に伝わっていない

患者さまは、自身の症状に合った治療を受けられる整形外科医院を探しています。そのため、以下のような状況では興味を持っていただくことが難しくなります。

整形外科医院の存在を知られているものの、地域の方々から選ばれていないケースもあります。それは、以下のような状況が原因の可能性があります。

・ほかの医院と同じような情報しか発信できていない
・独自の診療コンセプト、スタイルを見込み患者さまに伝えられていない
・医師の専門性や実績を十分にアピールできていない

患者さまに選ばれる整形外科医院になるためには、自院ならではの強みや魅力をわかりやすく伝えることが大切です。

これらの情報をしっかりと伝えるための方法のひとつに、書籍の出版があります。その書籍をクリニック内に置いて訴求したり、オフラインやオンラインの書店で販売したりすることで、医師の権威性や信頼性が高まり、自院のブランディングにつながるため、集患効果を期待できます。

(3)計画的かつ継続的なマーケティング施策を実行できていない

広告を出稿していたり、ホームページを運用していたりする場合でも、以下のような状況では十分な効果を得られません。

・広告効果の測定や分析にもとづいた改善施策を進めていない
・ホームページに患者さまに役立つ記事や動画、資料といったコンテンツがない
・患者さまの声にもとづいてホームページの内容や医院スタッフの接遇などを改善していない

集患を成功させるためには、自院のターゲット層に合ったメディアに広告を出稿したり、患者さまにホームページ上のコンテンツから有益な情報を届けたりするほか、定期的な広告効果の測定やホームページのアクセス解析を通じて、数値目標や患者さまの来院経路などにもとづいた改善施策を実行していくことが必要です。

集患に向けた経営数値の把握

集患施策を始める際、自院の経営数値を正確に把握しておくことが大切です。これによって、集患が進まない理由や自院の強みを客観的に捉えられるようになります。経営数値を把握するための主な指標(KPI)の例は、以下の通りです。

・新規の患者数:初めて来院した患者さまの人数
・再初診の患者数:前回の受診から一定期間が経過したり、別の症状で再受診した患者さまの人数
・延べ患者数:一定の期間内に来院した患者さまの人数
・レセプト単価:1枚あたりの診療報酬
・通院の回数:一定の期間内に患者さまが通院した回数
・ホームページ経由の新規患者数:ホームページの閲覧をきっかけに初めて来院した患者の人数
・「患者アンケート」の回答数や評価
・オンライン上の口コミ評価、投稿数 など

これらの数値を定期的に分析することで、「なぜ患者数が増えないか」「どの段階に課題があるか」を捉えることができます。

たとえば、新規の患者数が少ない場合は、地域の方々に自院の存在を知っていただくための施策が不十分だと考えられます。また、新規の患者数を確保していながら再初診の患者数が少ない場合は、集患施策が機能しているものの、自院のサービスや接遇に課題があると推測できます。

このように、経営数値にもとづいて課題を特定することで、自院に最適な集患施策を立てやすくなるでしょう。

整形外科医院の探し方、選び方を理解する

効果的な集患施策を行うためには、患者さまがどのような基準で整形外科医院を探し、そして選んでいるかを理解することが重要です。株式会社ファングリーの資料のひとつとして、関節症を患っている患者さまを対象としたアンケート、インタビューからの調査結果があります。

この結果にもとづいて患者さまが整形外科医院を選定、決定するまでの行動プロセスを理解することで、どこに情報を発信すべきか、どのような魅力をアピールすべきかが明確になるでしょう。

患者さまが整形外科医院を選定、決定するまでの行動プロセスは、大きく3つのステップに分けられます。

【参照データ】
株式会社ファングリー・アンケトス調べ

ステップ1|情報収集

まずは、患者さまは「近くに整形外科医院があるか」を調べるために、情報を収集します。主な方法は、以下の通りです。

・インターネット検索:「症状+地名」「医院名」「症状」「病院+地域名」などのキーワードで検索する
・口コミ:おすすめの整形外科医院を家族や友人、知人に尋ねる
・広報物、広告:地域の情報誌や新聞の折り込みチラシを参考にする

近年、整形外科医院の探し方として、インターネット検索が主流になっています。株式会社ファングリー・アンケトス調べによると、関節症を患っている患者さまの中で、13%がインターネット検索を通じて整形外科医院を選定していました。また、インターネット検索で入力するキーワードとしては、「症状+地名」が最多で31%にのぼりました。

ステップ2|候補選定、絞り込み

次に、患者さまは収集した情報をもとに、いくつかの整形外科医院をピックアップし、そこから以下の基準で絞り込んでいきます。

・通院のしやすさ:最寄り駅からの徒歩時間、駐車場の有無など
・他者からの評価:インターネット上の口コミやSNS上での評判
・診療内容:自身の症状に合った治療を受けられるか、専門医が在籍しているかなど
・医師、スタッフの印象:ホームページ上やSNS上にある院長、スタッフの写真や紹介文から安心感を得られるかなど
・効率性:予約システムの有無、ホームページ上での混雑状況の発信など

株式会社ファングリー・アンケトス調べによると、インターネット検索の際に「症状+地名」というキーワードを入力する比率が高いことから、立地条件を重要視される傾向が見られます。そのため、Googleビジネスプロフィールに登録し、GoogleやGoogleマップに整形外科医院の情報を表示されるようにすることも有効です。

また、整形外科医院を比較検討する場合の判断材料として、治療方法や医師の実績・人柄といった情報も重要視されていることから、ホームページにしっかりと記載することも大切です。

ステップ3|決定

最後に、患者さまは絞り込んだ整形外科医院の中からひとつを決めます。整形外科医院を選定する際の決め手になるのは、以下の通りです。

・アクセスのしやすさ
・自宅からの距離
・医院や医師の実績
・インターネット上の口コミ、評判
・ホームページにある情報の詳細さ

インターネット検索の結果、とくに整形外科医院を選定する際の決め手になるのが、アクセスのしやすさ(26%)、自宅からの距離(19%)でした(出典:株式会社ファングリー・アンケトス調べ)。

ほかにも、医院や医師の実績が決め手になっていることから、患者さまから安心感や信頼感を得ることも大切だと言えます。その方法のひとつとして、書籍の出版も効果的でしょう。

このような患者さまの行動プロセスを知ることで、情報の発信先や自院がアピールすべき魅力が明確になるはずです。

集患効果を高めるための方法

集患施策は、やみくもに着手してしまうと効果が限定的になったり、費用対効果が低かったりする恐れがあります。そのため、実行する前に自院の現状を正しく理解し、 集患施策を行うことで、その効果を高められます。

患者さまの来院経路を把握する

まずは、患者さまが来院したきっかけを把握すべきです。その情報を収集する方法として、次のような方法があります。

・新規の患者さまを対象としたアンケートに「どのように当院を知りましたか?」という設問を加える
・医院スタッフが受付や診療の際に直接ヒアリングする
・GoogleアナリティクスやGoogleビジネスプロフィールでアクセス解析をする
・診療予約システム上のデータを分析する

これらの情報から、紹介患者の割合、ホームページやインターネット広告からの来院率、初診患者と再診患者の違いなどが明らかになるため、実行すべき集患施策の方向性も定めやすくなります。

たとえば、ホームページの閲覧を機に来院する患者さまが多い場合は、SEO対策やMEO対策を通じて検索画面上で上位に表示されるようにしたり、患者さまに有益な情報を届けるための記事や動画、資料などのコンテンツを増やしたりする施策があります。一方で、インターネット上の口コミをきっかけに来院する患者さまが多い場合は、医療サービスを充実させたり、医院スタッフの接遇を改善したりするなどの施策が考えられます。

自院の強みを理解する

患者さまに選ばれるためには、ほかの整形外科医院と比べて、自院が優れている点(競合と比較して明確に差別化できるもの)をしっかりと打ち出すことが大切です。

そのためには、アンケートや口コミからの患者さまの声、競合となる整形外科医院との比較、GoogleアナリティクスやGoogleビジネスプロフィールでのアクセス解析などを通じて、客観的に自院の強みを捉えることが大切です。

自院の強みをホームページやチラシ、看板、各種SNS(X、Instagram、LINEなど)、YouTubeなどの動画などで発信することで、患者さまがほかの整形外科医院と比較検討しやすくなるうえ、自院を選ぶ理由を見つけやすくなります。

また、ターゲットに合ったメディア(整形外科専門のメディアやクリニックのオウンドメディア、YouTubeチャンネル)にストーリー性のあるメッセージを発信することで、自院のブランディングにもつながります。

医師や専門家からのメッセージを通じて、自院のブランディングにつなげている参考例。ひざ関節の痛み解消ナビの医師・専門家インタビューページ

ターゲットを明確にする

「あらゆる方に来院していただきたい」という姿勢だけでは、集患施策の効果を得られない可能性があります。そのため、自院の強みを踏まえてターゲットを絞り込むことが必要です。

たとえば、自院の強みがスポーツ整形外科の場合、ターゲットはアスリートや部活動に励む学生になります。また、治療はもちろん、再発を予防するためのサポートも行っているリハビリの場合、ターゲットは術後の患者さまや、慢性疾患を抱える高齢の患者さまになります。

また、ペルソナを設定することも有効です。性別や年齢、職業、年収、家族構成、趣味などの情報から特定の人物像をイメージできるようにすることで、細かいニーズを捉えやすくなります。

ターゲットやペルソナを明確化することで、その方々が関心を持つ情報を発信したり、利用頻度の高い媒体に掲載したりすることで、効率的に患者さまを集められるでしょう。

数値目標を設定する

集患を成功させるためには、明確な数値目標を設定しましょう。たとえば、以下のような数値目標があります。

・毎月、新規の患者さまを30人獲得する
・再初診の患者数を前年比で20%増加させる

また、数値目標は短期(3ヶ月)、中期(1年)、長期(3年)と段階的に定めることで、医院の方向性を医院スタッフ全員で共有しやすくなります。

「費用対効果を測れない」「成果を実感できない」といった事態を防ぐためにも、数値目標を設定してから集患施策を始めることをおすすめします。

数値目標に達しない場合、課題を特定して改善策を講じることで集患につながります。たとえば、新規の患者さまの来院経路を分析し、「ホームページの閲覧をきっかけとした来院数が少ない」という際は、ホームページの訴求内容を見直したり、SEO対策を強化したりすることが考えられます。また、広告費と患者さまの増加数を比較し、「広告を出稿したが、患者さまが増えていない」という結果であれば、広告のターゲットや内容を見直す必要があります。

このようにPDCAサイクル(Plan、Do、Check、Action)を回すことが大切です。「施策の実行→効果の測定→課題の抽出→改善の実践」という流れを繰り返すことで、より効率的かつ効果的な集患施策になり、自院の継続的な成長につなげられます。

オンラインでの集患方法

現代の集患方法として、オンライン施策は欠かせません。近年、患者さまは来院前にインターネットから情報を収集することが一般的になっており、そこでの露出を増やすことが非常に重要です。代表的なオンライン施策としては、次の4つが挙げられます。

ホームページ(オウンドメディア)

ホームページは、整形外科医院にとってもっとも重要な集患施策です。ホームページがなければ、患者さまに必要な情報を届けられず、ほかの医院を選んでしまう可能性が高まります。

ホームページを制作する場合、見やすさ、使いやすさを重視することで、患者さまからの好感度を高められます。さらに、自院の強みをはじめ、医師や医院スタッフの人柄が見えるブログやインタビュー、症状別にその原因や治療方法、予防方法を解説する記事、患者さまの不安を和らげるために院内の雰囲気や医療機器を紹介する写真や動画といったコンテンツを掲載することで、患者から信頼を得られるでしょう。

ホームページからの集患効果を高めるためには、SEOやMEOの対策が不可欠です。昨今は生成AI検索の最適化(LLMO/AIO/GEO)も注目されており、生成AIからの回答に引用、参照されやすくなることで、アクセス数の増加とともに集患効果を期待できます。

Googleビジネスプロフィール(MEO対策)

近年、有効な集患施策と言われているのが、Googleビジネスプロフィールです。Googleビジネスプロフィールとは、GoogleやGoogleマップでの検索時に表示されるビジネス情報を指します。

Googleビジネスプロフィールには、住所や電話番号、診療時間、休診日といった基本情報に加えて、自院の写真も掲載可能です。さらに、患者さまから寄せられた口コミも表示されるため、良質な書き込みが増えるほど信頼性が高まります。この口コミに対して誠実に返信することで、「信頼できる医院」という印象を強められるでしょう。

Googleビジネスプロフィールは、「地域+整形外科」というキーワードで検索された場合に、とくに表示されやすいため、地域の患者さまに自院の存在を認識してもらうための強力なツールになります。

LINE

LINEの運用も効果的な集患施策のひとつです。突発的な休診日や診療時間の変更、医療や健康に関するコラム、アンケートのご依頼などの情報を迅速、もしくは定期的に発信することで、患者さまに来院のきっかけづくりにつながります。

友だち追加をしていただいている患者さまにプッシュ通知のメッセージを一斉送信できるうえ、開封率や即時性が高い傾向がある点も魅力です。

医療情報ポータルサイト

医療情報ポータルサイトの活用も集患効果を期待できます。医療情報ポータルサイトとは、医療業界に関する情報を取りまとめているサイトのこと。代表的なサイトとしては、本記事が掲載されている「ひざ関節の痛み解消ナビ」のほか、「病院なび」「Caloo」「ホスピタ」「ドクターズ・ファイル」 などがあります。

医療情報サイトは、検索時に上位に表示されやすく、ユーザーも多いのが特徴。そのため、地域の方々に自院の存在を知っていただくための場になります。

オフラインでの集患方法

集患方法としてオンライン施策が主流となる中でも、地域に根差した整形外科医院を目指す場合、オフライン施策も有効です。主なオフライン施策は、6つあります。

地域情報誌や新聞広告

地域に密着した情報誌に記事を掲載したり、地方新聞に広告を出稿したりすることで、インターネットをほとんど利用しない方や高齢者などにも効果的に届けられます。とくに、記事を掲載する場合、自院の魅力や診療内容について丁寧に説明できるため、来院の促進につながりやすくなります。

チラシやパンフレット

新聞やフリーペーパーに折り込んでチラシを配布したり、近隣の駅やスーパー、公共施設にパンフレットを設置したりすることで、地域の方々や通行人に自院の存在を周知できます。

自院にパソコンとプリンターがあれば、チラシやパンフレットを制作することもできます。文言やデザインにこだわりたい場合は、専門の制作会社に依頼すると良いでしょう。

看板や外観

看板を設置することで、大勢の方の目に留まることから、地域での認知度アップを目指せます。とくに、近隣の駅や交差点、電柱など目立つ場所に設置すると有効です。

看板を制作する場合、遠方からでも認識しやすい色使いやフォントを採用すると効果的です。また、肩こり、腰痛、スポーツ外傷など、具体的な症状を明記することで、どのような診療を行っているかをひと目で伝えられます。

また、整形外科医院の内装だけでなく、外観も清潔にしておくことも大切。患者さまに安心感や好印象を与えられるため、再初診につながるでしょう。

口コミ

オフライン施策の中で、もっとも強力な集患方法が口コミです。良質な口コミが多いほど集患効果を期待できるため、その書き込みに対しては丁寧に回答しましょう。仮に、ネガティブな内容であっても、真摯に受け止めて改善策を示すことで、ほかのユーザーから信頼や好印象を得られるでしょう。

良質な口コミを増やすためには、お客様の満足度を高める必要があります。医師はもちろん、受付やリハビリのスタッフも医院全体で丁寧な対応を心がけましょう。とくに、医師や理学療法士は、治療方針やリハビリメニューについて患者さまから納得を得られるよう、丁寧に説明することが大切です。

患者さまが自院のサービスや接遇に満足している場合、「よろしければ、肩や膝、腰などの痛みでお悩みのご家族やご友人に当院をご紹介ください」と、さりげなくお声かけするだけでも、口コミ効果を期待できます。

イベントやセミナー

地域住民を対象としたイベントやセミナーの開催も有効です。ここで直接コミュニケーションを取ることで、信頼関係を築けます。イベントやセミナーは単なる宣伝にとどまらず、医療や健康に関する啓蒙活動を通じて地域貢献にもつながるため、自院の評価を高めることになるでしょう。

イベントやセミナーでは、以下のような工夫をすると、より集患につながります。
・地域の方々が興味を持つテーマにする
・専門用語をできる限り使わずに解説する
・自院の情報を配布資料に盛り込む
・終了後に個別相談会を行う

書籍

医師が監修(執筆)する書籍の出版は、自院の専門性・信頼性・権威性を高める有効な手段のひとつです。書籍の中で医師の専門分野や臨床実績、治療法を体系的に解説することで、専門性を強くアピールできるだけでなく、医師の人柄や思考、発想、人生観などを伝えることでブランディングをしてくこともできます。さらに、出版の企画そのものをニュースリリースやホームページ、SNS、セミナーなどで発信することで、広報効果を一層高められるでしょう。

ただし、出版には相応の時間とコスト(500~1,000万程度)を要するため、すぐに集患に直結するわけではありません。地域の患者層に適したテーマ設定や、ほかの情報発信ツールとの連携を意識することで、より現実的かつ持続的なブランディング効果を期待できます。

集患施策を実行する際の注意点

集患施策を実行する際、とくに注意すべきポイントが3つあります。これらを怠ると、せっかく取り組んできたことが無駄になるだけでなく、法的トラブルに発展する恐れもあるため、十分に気をつけましょう。

医療広告ガイドラインの遵守

厚生労働省が定める医療広告ガイドラインには、整形外科医院のホームページや広告で掲載できる内容に関する厳格な規定があります。とくに、注意すべき点は以下の通りです。

・虚偽・誇大な表現の禁止
「絶対に治る」「日本一」といった客観的な根拠のない表現は使用できない
・ビフォーアフター写真の原則禁止
治療効果を保証すると誤認されるため、ビフォーアフター写真の掲載は原則禁止
・患者さまの体験談に対する注釈義務
体験談を掲載する場合、「個人の感想であり、治療効果を保証するものではありません」といった注釈を掲載しなければならない

医療広告ガイドラインに反すると、罰則を受ける恐れがあります。集患施策を始める前に、このガイドラインの内容を確認し、必要に応じて専門家からアドバイスを受けることをおすすめします。

【参考】
厚生労働省|医療広告ガイドライン(2024年9月13日掲載)

医院環境の整備

集患施策を通じて患者さまが集まっても、医院環境が思わしくなければ、再来院につながりません。そのため、次のような環境を整えていくことが重要です。

・清潔な院内
待合室や診察室、リハビリルームを常に清潔にすることで、感染対策になるだけでなく、患者さまに安心感を与える
・予約診療
待ち時間の長さは、患者さまの満足度を低下させるため、予約診療に対応することで、できる限りスムーズに診療を受けられるようにする
・接遇
患者さまと信頼関係を築くうえでもっとも重要な要素。医院スタッフ全員が明るく丁寧に対応することで、患者さまの不安を和らげる

医院環境を良好にすることで、患者さまの満足度を高めます。結果、再診率の向上や良質な口コミの増加につながり、増患効果を生み出します。

外部のコンサル業者への発注

集患施策の中には専門的な知識や技術が必要なものもあり、院長や医院スタッフだけで進めるのは限界があります。そのような場合、ノウハウや実績がある外部業者への発注を検討しましょう。とくに、以下のケースでは外注が良いでしょう。

・Web制作会社
医療機関特有のニーズや広告規制を理解しているWeb制作会社に任せることで、患者さまにとってわかりやすく信頼性の高いホームページを構築できるため、集患効果の最大化につながります。

・マーケティング専門会社
SEOやMEOに関する専門知識がある会社に任せることで、GoogleやGoogleマップから新規の患者さまの流入を期待できます。

・広告代理店
リスティング広告やSNS広告などは、専門的な知識にもとづいた運用が求められるため、これらの運用に特化した広告代理店に依頼することで、費用対効果を最適化できます。

・コンサルティング会社
医療経営に強みを持つコンサルティング会社に相談することで、経営状況の分析や集患戦略の立案などについてアドバイスやサポートを得られます。

・ブランディング会社
整形外科医院の強みを軸にブランドを構築する支援を受けられます。ホームページ制作とマーケティング施策と連動させたり、医師が監修する書籍の出版を通じて権威性を高めたりすることが可能です。

外注することで、院長は診療に専念できるうえ、専門家とともに質の高い集患施策を実行できます。業者を選定する場合、医療業界での実績が豊富で、医療広告ガイドラインにも精通している企業がおすすめです。

べストな集患施策の選択を

集患方法には、オンラインとオフラインを含め多彩な施策がありますが、すべてを試す必要はありません。自院にとってもっとも効果を期待できる施策にリソースを集中させて、計画的に実行していくことが大切です。

たとえば、若年層やスポーツ関連の患者さまを集めたい場合、SNSやホームページからの情報発信が有効です。一方で、高齢者が多い地域であれば、新聞広告や折り込みチラシ、看板などが効果的と言えます。自院のターゲット層が日常的に目にしているメディアやツールを理解し、その中から最適なひとつを選ぶことが集患施策の成功への近道です。

本記事では、整形外科医院のための集患施策について解説しました。オンライン、オフラインの施策がある中で、自院にとって最適な施策を選定、実行することで、安定した経営はもちろん、持続的な発展も期待できるでしょう。

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